未来の医療費軽減へ向けた「投歯」プロジェクトの全貌
公益社団法人日本歯科医師会が主導する「未来の歯産価値を、今からつくる。#投歯」プロジェクトが、2024年の活動を正式に開始しました。これは、国民が口腔の健康に興味を持ち、より良い生活を送るための取り組みです。プロジェクトの中心には、「投歯」という新しい概念があります。この言葉は、将来の健康的な生活を実現するために、日々のセルフケアと定期的な歯科医院のチェックを行い、口腔の健康を維持することを意味します。
有識者の先行研究によれば、歯科健診を受けない人は受ける人に比べて医療費や介護費用が高くなる傾向があり、このプロジェクトはそれを解消することを目的としています。実際、最近の調査結果では、定期的に歯科健診を受けている人は、医療費が平均9.5万円から最大13.5万円の差となることが明らかになっています。これは、早期からの口腔健康の維持が、将来的な医療負担を軽減することに寄与することを示しています。
若者の意識の実態とは?
2024年9月、日本歯科医師会は全国の20歳から69歳の男女1,000人を対象に「投歯に関する意識実態調査」を行いました。この結果、特に20代の若者たちの口腔ケアへの意識の低さが顕著となっています。多くの若者が髪や肌などの見た目に重きを置き、口腔ケアは後回しにしているのです。
具体的には、調査対象者の約3割が定期的に口腔ケアを行っており、特に20代においては「口・歯」のケアを行う優先順位が低く、「筋力」や「髪」に比べて低い傾向が見られました。20代男性で「口・歯」が「筋力」や「肌」よりも低い割合なのに対し、女性も「眉毛やまつげ」に比べると低く、見えない部分のケアよりも他の部分を重視する傾向があります。
健康な未来を築くために
このような結果を受けて、日本歯科医師会の伊藤常務理事は、口腔の健康が全身の健康に直結していることを強調します。誤嚥性肺炎や認知症などの病気を防ぐためには、定期的な歯科医院への通院が必要不可欠です。特に、高齢者においては口腔環境が悪化することで、医療費や介護費用が増加するリスクも高まります。
また、最新の研究では、過去6ヵ月以内に歯科受診をした高齢者は、未受診者と比較して8年間の累積介護費用が約11万円低いことが示されています。これにより、今後の医療費を低減させるためには、口腔ケアを怠らないことが大切だと考えられています。
まとめ
「投歯」プロジェクトは、国民が自らの健康を守るための啓発活動です。将来の健康を見据えた口腔ケアを行うことで、医療費や介護費用の負担軽減につながり、豊かな生活を実現するための第一歩となります。若い世代が未来に向けて「投歯」の重要性を理解し、実行していくことが求められています。自身の口腔環境を大切にし、定期的に歯科医院でのチェックを行うことで、健康維持に貢献していきましょう。