HikariQと味の素の研究
2024-03-27 09:41:38

味の素とHikariQが共同でバイオセンサーを活用した研究をスタート

味の素とHikariQ Healthが共同研究を開始!



株式会社HikariQ Health(以下、HikariQ社)と味の素株式会社(以下、味の素社)は、タンパク質を迅速に高生産する微生物の選別技術に関して、共同研究を開始する運びとなりました。今回は、HikariQ社のもつバイオセンサー「Quenchbody:Q-body」を基盤とした新しいアプローチが注目されています。

スクリーニング手法の革新



今回の共同研究で用いられるスクリーニング法は、特に注目されるべき点がいくつかあります。微生物が特定の目的タンパク質を分泌する際に、その特徴を効率的に検出することができるのです。具体的には、Q-bodyを利用して分泌されたタンパク質を蛍光シグナルとして検出・選別し、その中から最も生産能力が高い変異株を短期間で見つけ出す手法です。これにより、従来何ヶ月もかかっていた変異株の選別プロセスを数日で達成することが可能になりました。

大幅な生産性の向上



東京工業大学の北口研究室と味の素社との共同研究では、この新たなスクリーニング手法によって、約105の変異株を数日以内に選出することに成功しました。特に、増殖因子であるヒトFGF9の分泌生産量が約3倍に向上した微生物株が得られました。この成果は、今後の微生物を利用したタンパク質生産の展望を広げるものといえるでしょう。

バイオ医薬品への影響



この新しい技術がバイオ医薬品の製造に与える影響も期待されています。特に、微生物を利用してターゲットタンパク質を生産する手法は、コスト面や動物由来成分が含まれないなどの利点があり、近年注目を集めています。しかし、これまでの方法では開発期間が長引く課題が残りました。その点、今回のスクリーニング技術により、時間を大きく短縮できる可能性があるため、より早く多くの有用なタンパク質が生産されることが期待されています。

Q-bodyの特長



Q-bodyは、東京工業大学の故・上田宏教授によって開発されたもので、従来の免疫測定法を改良し、さらに迅速かつ簡便なセンサー機能が加えられた抗体です。特に優れた点は、これまで必要とされていた洗浄工程を省略できることで、研究や実用化の幅が大きく広がりました。HikariQ社の吉井社長は、この研究成果によってQ-bodyの特性が活かされたことを強調し、今後のさらなる発展を目指す意向を示しています。

HikariQ Healthとは



HikariQ Healthは、2021年に設立された東京工業大学発のベンチャー企業で、主にQ-bodyを活用したバイオセンサーの開発や抗体薬物複合体(ADC)の研究を行っています。独自の技術を基盤に、革新的な医療技術の創出に貢献していくことを目指しています。

これからの共同研究が、どのような成果をもたらすのか注目が集まります。タンパク質生産の新しい時代が到来するかもしれません。特にバイオ医薬品の安価供給に向けた新たな一歩となることを期待しています。

会社情報

会社名
株式会社HikariQ Health
住所
東京都港区芝浦三丁目3番6号東京工業大学キャンパス・イノベーションセンターINDEST 3F
電話番号
090-9882-7175

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