一人ご飯の価値観と気分の変化
博報堂生活総合研究所が行った最新の調査によれば、「一人ご飯」と「他者との食事」のストレス度はほぼ同程度であることが示されています。調査では、20歳から69歳までの男女1,500人を対象に、食生活に関する価値観や行動について詳細な分析が行われました。
ストレスを感じる食事スタイル
調査結果によると、「一人の食事」でストレスを感じる人は48.5%、対して「他者との食事」では51.5%の人が同様の感情を抱いていることが分かります。この結果は、多くの人が一人で食事をすることに多少のストレスを感じている一方、他者との食事にも同様のストレスがあることを示唆しています。
また、この調査では個々の食事スタイルに対する意見も反映されており、一人の食事に対しては「食卓はコミュニケーションの場であるべき」との見解も。対して、他者との食事に対しては「個人の生活リズムの違いが障害になる」との意見がありました。
食事中の気分の違い
食事の際に感じる気分について、オノマトペを用いて尋ねたところ、「一人の食事」では「のびのび」という気分が最も多く選ばれました。これに対し、「家族との食事」では「ほっこり」、「友だちとの食事」では「わくわく」といった感情が一番多かったとの結果が出ています。このように、同じ食事行為でも、共にする相手によって得られる満足度や気分も大きく異なることが明らかになりました。
人気の料理の傾向
さらに、食事の内容に注目してみると、一人で食べることが多い料理は主に「主食」にあたるもの(例えば、おにぎりやラーメンなど)、一方で他者との食事には「主菜」として寿司や焼肉、すき焼きが好まれる傾向があることが分かりました。このことからも、食事スタイルによって選ばれる料理は大きく異なるようです。
調理定年についての意識
また、最近提唱されている「調理定年」という概念についても、調査が行われました。これは、手料理主義から脱却し、外食やテイクアウトを積極的に利用することを指します。この概念に賛成する人は66.1%と多く、反対する人は33.9%。賛成派は前年よりも増加しており、時代の変化が感じられます。
デジタル化とストレス
加えて、食生活のデジタル化が進む中で、アナログとデジタルのどちらがストレスを感じるかを調査したところ、「店員を呼んで注文する」方が「タブレットやスマホで注文する」よりも明らかにストレスを感じるという結果が出ました。このことから、古き良きアナログなコミュニケーションが今もなお重要視されていることが伺えます。
まとめ
今回の調査から、「一人ご飯」と他者との食事の間にはそれぞれ特有のストレスや気分の違いがあることが明らかになりました。今の時代、個々のライフスタイルや価値観が多様化する中で、「どちらか片方」に固執するのではなく、「両方」を楽しむことが生活者にとっての新しい食事スタイルかもしれません。未来の食生活を考える上で、この調査結果は興味深い指針となるでしょう。