片頭痛治療の現状と意識調査から見えた課題とは

片頭痛は年間有病率が8.4%とも言われ、多くの人に影響を与える疾患ですが、実際に医療機関を受診する人は少ないのが現状です。この度、株式会社メディリードが行った自主調査をもとに、片頭痛患者の受診状況やその背景にある患者の意識について考察します。

調査の背景

日本では片頭痛は多くの方に悩みの種とされていますが、受診しない理由は「受診するほどではない」との認識や、市販薬で十分と判断するケースが多いようです。このような偏見、通称「片頭痛のスティグマ」が影響していると指摘されています。そのため、本調査は6,753名の回答をもとに行われました。

調査方法と結果

調査はインターネットを通じて行われ、多岐にわたる質問が設けられました。その中から以下の要点を抽出しました。

1. 予防治療の重要性：調査によると、片頭痛の予防治療が推奨されている人はなんと9割以上に達しましたが、実際に予防薬を使用しているのはわずか1割未満という驚愕の結果となっています。この背景には、薬物治療の重要性を認識しているにもかかわらず、実行に移せていない患者が多いことが挙げられます。
2. 受診経験と薬剤選択：片頭痛の症状を報告した回答者の中で、医療機関受診経験がある人は約6割いました。これに対し、予防薬を実際に使用している患者は7.6%と非常に少なく、多くの患者が症状を軽視している実態が浮かび上がりました。
3. 患者の相談意識：医療機関を受診した経験のある患者に対して、治療に関して自発的に相談したことがあるかを尋ねたところ、約半数が「自分から相談したことがない」と回答しています。一方で、医師への相談の意向は高く、具体的な薬剤希望がある場合には「非常に相談したい」との意向が全体の3分の1を超え、未受診者でも2割以上が相談希望を示しました。

まとめ

この調査結果から、片頭痛患者の間には医療機関への受診意識の低さ、治療法に対する知識の不足、さらには医師とのコミュニケーション不足があることが浮き彫りになりました。

片頭痛の治療においては、医療機関での診察や適切な治療法の提案が不可欠であるため、今後は患者自身が積極的に医療を利用し、医師とのコミュニケーションを図ることが重要です。片頭痛の装飾品ともいえる「スティグマ」を打破するためにも、社会全体での啓発が求められます。