大学生と社会の関わりにおける新たな視点
公益社団法人東京広告協会が行った『大学生の社会参画に関する意識調査』の結果が発表され、現代の大学生が体験した数々の社会的出来事が彼らの意識にどう影響を与えているかが明らかになりました。この調査は、全国の4年制大学に在籍する大学生によって実施され、参加者自身が調査の企画から分析までを担当しました。
S世代の特徴
調査により、現大学生は「Social Interaction世代(S世代)」と位置付けられており、その特徴として社会への単なる参加を超え、相互作用を通じて自らを形成していることが示されました。彼らは情報の取得に関しても非常に高い意識を持ち、社会からの影響を能動的に受け入れる姿勢が見受けられます。
日本への好意度の変化
一つの注目すべき点は、現在の大学生の日本に対する好意度が2014年には97.4%であったのに対し、2025年には64.1%に低下したことです。この数値は、33.3ポイントの大幅な減少を示しており、背景には彼らが経験した様々な社会的出来事が影響していると考えられます。
大学生が印象に残っている出来事
調査によると、現在の大学生が心に残している出来事は以下の通りです。
1. コロナウイルスの蔓延 (72.5%)
2. 安倍晋三元首相の襲撃 (70.2%)
3. 東日本大震災 (67.7%)
4. 能登半島地震 (65.2%)
5. ロシアのウクライナ侵攻 (63.8%)
これらの出来事は、大学生の社会に対する意識に大きな影響を及ぼしていることが明らかです。
自己形成における相互作用
さらに興味深いのは、大学生が社会との相互作用を通じて自己を形成しているという点です。「これまでの正解とされていた生き方は、自分たちの世代には通用しないと思う」との質問に対して、53.2%が共感を示しています。逆に、従来の生き方に疑問を持つ彼らは、従来の枠にとらわれない柔軟な考えを持っていることが見受けられます。
事実の見極めと情報力
また、現代の大学生は情報の受け取り方に対しても非常に敏感です。もっとも知りたい情報の種類として1位が「事実として的確な情報」(64.0%)、2位は「簡潔でわかりやすい情報」(62.8%)、3位には「自分の興味に沿った情報」(62.2%)が挙げられています。このことからも、彼らが情報を取捨選択する力を持ち、社会的な問題に対する理解度が高まっていることがうかがえます。
大学生が求めるもの
さらに、大学生が社会を生きるために必要だと思うもののランキングでは、第1位「お金」(36.5%)、第2位「政治・法律・制度の変化」(25.0%)、第3位「経済・経済支援」(24.8%)となりました。これらは、大学生が現在の経済的、政治的環境をどう捉えているかに関連しています。
まとめ
この調査結果からは、現在の大学生が社会との相互作用を重視し、自らの価値観を形成しようとしている姿が浮かび上がります。彼らは、その意識や行動において、従来の枠にとらわれず、新たな社会参画の形を模索しています。興味のある方は、この調査の詳細なレポートを参照されることをおすすめします。