アルファ・ラバル、水素用ガス燃焼装置の基本承認を取得
アルファ・ラバルは、船級協会DNVから液体水素運搬船向けのガス燃焼装置(GCU)に関する基本承認を獲得したことを発表しました。この承認は、安全な水素輸送を実現するために重要なステップと言えるでしょう。
水素輸送におけるガス燃焼装置(GCU)の重要性
液体水素を運搬する際には、ボイルオフガス(BOG)の管理が不可欠です。水素のボイルオフ率は液化天然ガス(LNG)よりも高く、輸送中の圧力と温度を一定に保つことが求められます。GCUは、このボイルオフガスを安全に焼却することで、タンクの圧力を制御し、事故を防ぐ役割を果たします。DNVからの基本承認は、アルファ・ラバルのGCU技術が技術的に実現可能であり、安全機構が整っていることを示しています。
アルファ・ラバルのビジネス開発マネージャーであるデビッド・ジュン氏は、「このAiP取得は私たちにとって重要な成果です。DNVの船級規則に基づき、我々のコンセプトが評価された証です」と語っています。この言葉からも、技術力への自信と安全性への強い意識が伺えます。
海運業界の経験を生かした設計
水素は非常に低い沸点(-253度)を持つため、施工時には特有の課題が伴います。軽量で可燃性の高い水素フレームを安全に管理することは、GCU設計において最も重視される要素です。そして、アルファ・ラバルはLNGのGCU技術を元に、水素用のGCUを開発しています。
同社は最近、200基以上のLNG運搬船向けGCUの実績を持ち、さらに100基の注文を受けています。この経験を水素輸送用のGCU技術に活かし、安全性と効率性を両立させることが期待されています。
デビッド氏は、「水素を安全に輸送するためには、技術の安全性と信頼性が不可欠です。アルファ・ラバルは、LNG運搬船向けの技術で積み重ねてきた実績があるため、今後の水素輸送市場でもその強みを生かせます」と述べています。
アルファ・ラバルの企業理念
アルファ・ラバルは、限られた資源を最大限に活用するための革新を追求しています。エネルギー、食料、清潔な水の提供を行いながら、世界の貿易を支える海運艦隊の脱炭素化にも注力しています。140年以上もの歴史を持つ同社は、現在では100カ国以上に顧客を持ち、21,300人以上の従業員を擁しています。2023年の年間売上高は636億スウェーデンクローナ(55億ユーロ)に達しており、Nasdaqストックホルムに上場しています。
アルファ・ラバルは、持続可能な社会の実現に向けて、革新的な技術やソリューションを開発し続けており、今後の水素市場でのさらなる成長が期待されています。彼らの挑戦は、予測される持続可能な未来を築く一翼を担っているといえるでしょう。