『沸騰都市』の概要
株式会社ロフトワークが2026年3月9日に刊行したリサーチブック『沸騰都市』は、都市の気候と私たちの暮らしとの関係を深く探求した成果をまとめたものです。特に、2025年から行われたビジネスプログラム「Y/Our Climate」の取り組みを基にしています。プログラムは、7回にわたるレクチャーセッションで構成され、都市が直面する気候問題に様々な視点からアプローチし、参加者同士が意見を交わしながら未来の都市像を探りました。その中で得られた知見が本書に凝縮されています。
都市の微気候の重要性
リサーチブックは、気候変動というテーマを通じて「微気候」という概念に光を当てています。微気候とは、特定の地域や時間帯における局所的な気候の特性を指し、都市内で感じる温度差や湿度の変化を表します。私たちが日常生活の中で感じ取る体験は、世界規模での平均気温とは異なるものであり、アスファルトの照り返しや建物による囲いなど、都市特有の気候条件が色濃く影響します。このことに注目し、個々の体感から得られるデータが、より効果的な気候政策に結びつく可能性を秘めています。
本書の目的とアプローチ
『沸騰都市』は、気候変動の最前線で市民が体験するリアルな環境を捉え直し、問題提起だけでなく具体的なアクションプランを模索するための基盤となることを目指しています。本書は、2025年の猛暑日や市民からの観察データに基づき、都市の気候に対する新たな視座を提供していくものです。特に、政策や技術の面での枠を超えて、私たちの「身体スケール」での理解を深めることが重要です。
展示会について
本書刊行に関連して、2026年3月25日から4月19日までFabCafe Tokyoで展示会「沸騰都市展|Y/Our Climate Exhibition」も開催されます。この展示では、リサーチによって得られた知見に基づき、具体的な空間デザインやテクノロジーに関するプロトタイプが紹介されます。参加者は、都市と気候の関係をより体験的に理解する機会を得られることでしょう。
トークイベントの開催
展覧会開始に先駆け、2026年3月24日にはFabCafe Tokyoで刊行・展示記念トークイベントも行われます。ここでは、本書と展示のディレクターが制作過程や発見したインサイトについて解説し、特別ゲストとのトークセッションを通じて今後の気候適応と快適な都市生活についての考察が展開されます。気候変動の影響が実感される中、私たちの都市が今後どのように変わっていくのか、参加者全員で議論を深めていく貴重な時間となるでしょう。
未来を考えるためのプラットフォーム
『沸騰都市』は、専門家による議論や政策立案だけでなく、一般市民も巻き込む形で、「都市の気候」というテーマを広く社会の中で語るためのプラットフォームの役割を果たしています。本書は、完成形ではなく対話の道具として位置付けられ、読者がそれを読み進めることで、より深い対話が生まれることを願っています。読書が始まりの第一歩となり、多様な意見やアイデアが交わされ、新たな都市生活の形が生まれることが期待されます。
ロフトワークは今後も、個々の体験に基づいた知見をビジネスや政策に結びつけ、より住みやすい都市環境作りに貢献し続ける方針です。人間の生活に密接に関わる気候問題を解決に導く、この取組みから目が離せません。