神奈川大とダイイチの共同開発が実現した暑熱対策プロダクト
神奈川県横浜市に位置する神奈川大学の道用ゼミと株式会社ダイイチが、画期的な暑熱対策プロダクトを共同で開発しました。このプロジェクトは、グリーンエキスポ2027の開催を契機に始まったヨコハマ未来創造会議の一環で、環境に優しい社会を目指すための活動です。
プロジェクトの背景と目的
ヨコハマ未来創造会議では、次世代のリーダーとなる若者たちが地域企業と連携し、環境共生社会の実現に向けた取り組みを行っています。この思想に基づき、神奈川大学の道用ゼミとダイイチがタッグを組みました。彼らは、廃棄物問題や環境保全への関心が高まる中、リサイクルの観点からアプローチしていくことに決めました。
特に目を引くのは、未利用の資源を活用して製品化し、温暖化対策にも寄与することです。具体的には、リサイクル率の低い紙パッケージと横浜市の水源林に存在する間伐材を使用し、生まれた『アップサイクル紙糸』を使った製品を開発しました。
プロダクトの特色
この暑熱対策プロダクトは、特に優れた断熱性を持つことが特徴です。学生たちが発想したアイデアをもとに作られた晴雨兼用傘や扇子、また会場スタッフ用のフード付きTシャツとポーチなど多様な商品が完成しました。これにより、使用することで暑熱環境への適応が期待できると共に、見た目にも横浜らしいデザインが施されています。
実証実験とその成果
プロダクトの効果を検証するために、サーモカメラを用いた実証実験も行われました。晴雨兼用傘を使用した場合と使用しなかった場合で温度の違いを確認したところ、傘を使用している方が明らかに温度が下がる結果が得られました。これは、今後の商品展開に向けた強力なデータとなります。
さらなる展開と連携
今後の展望としては、傘のシェアリングサービス「アイカサ」との連携が注目されています。株式会社Nature Innovation Groupが運営するこのサービスは、駅や商業施設で専用スポットを設置しており、手軽に傘を借りることができます。神奈川大学とダイイチが開発した傘も、相鉄本線瀬谷駅のアイカサ機器に設置予定です。
その他のプロダクトに関しても、断熱性や製品の使いやすさを向上させるため、引き続き改良が行われ、販売に向けた準備が進められます。特に、上瀬谷地域で倒木の危険がある桜を利用し、傘の生地を桜色に染色するなどのアイデアも盛り込まれています。これにより地域資源を活用し、環境意識の高い製品を提供する姿勢が評価されています。
株式会社ダイイチと神奈川大学道用ゼミ
株式会社ダイイチは1953年に創業され、ユニフォームの企画・製造を行っています。企業理念として「人と社会が輝く未来」を追い求め、地域貢献や持続可能な社会に向けた様々な取り組みを行っています。一方、神奈川大学の道用ゼミは、サステナブルデザインの視点から、多岐にわたるプロジェクトを展開しています。
両者の連携によって生まれた新たなプロダクトは、地域社会に根付くと共に、環境保護の重要性を再認識させるものとなりました。今後の進展にぜひ注目したいところです。