SHIN4NYと宇都宮ブレックスの革新
SHIN4NY株式会社が、宇都宮ブレックスとの協力を通じて音声解析技術「ボルテージ指数」を用いた実証実験を行いました。この実験は、観客の応援をリアルタイムで可視化し、スポーツ観戦の新しい楽しみを提供することを目的としています。神奈川県小田原市に本社を置くSHIN4NYは、ヒトの発話音声を計測し、その感情を「見える化」するスタートアップです。
この取り組みは、2024年12月14日から16日、翌年の1月12日にかけて栃木県宇都宮市のブレックスアリーナで行われました。最大収容人数約4,500人のアリーナにおいて、観客の応援の熱意をリアルタイムで示すことで、選手とファンとの一体感を生み出すことが期待されています。
ボルテージ指数の仕組み
「ボルテージ指数」はSHIN4NYが開発した音声解析テクノロジーで、観客の声援データを分析し、その熱狂度を0から100のポイントで可視化します。この指数は試合の興奮をグラフ表示することで、どの瞬間に最も盛り上がりがあったのかを明らかにするものです。計測はスマートフォンの内蔵マイクを使用し、アリーナ特有の音の反響を考慮して録音が行われました。この手法は今回の実証実験が初めての試みです。
実験の結果、最も観客の熱狂が高まった瞬間は、第2クォーターの残り1分59秒でのオフェンスシーンでした。次いで、残り5分31秒でのゴールシーン、最後に残り5分28秒でのディフェンスシーンと続きました。こうしたデータは、選手に対する観客の声援がどのように影響するのかを考察するための重要な情報となります。
今後の展望
今回の実証実験の結果を元に、SHIN4NYはボルテージ指数のリアルタイム可視化プラットフォームの構築を目指しています。スマートフォンやタブレット、さらにはアリーナ内の大型ビジョンにボルテージ指数を配信し、試合中のファン演出を充実させる予定です。また、SNS機能との連携を図ることで、観客同士のインタラクションを強化し、ハイライトシーンの自動生成や選定も行うことで、全く新しい観戦体験を提供することを目指しています。さらに、会場に来られないファンの声援もボルテージ指数に変換し、リアルタイムで共有する仕組みを整備する考えです。
SHIN4NYの代表取締役社長、工藤春香氏は「私たちの技術が日常に新たな感動をもたらすことを信じている」と述べ、地方都市宇都宮での実証実験に対し強い熱意を示しました。彼女はこの先、さらに多くのスポーツシーンで音声解析技術が活用されることを期待しています。この取り組みは、スポーツ観戦を一層盛り上げるだけでなく、チームや選手のモチベーションアップにも寄与すると見込まれています。
宇都宮ブレックスと「宇都宮アクセラレーター2024」
宇都宮ブレックスは、栃木県宇都宮市をホームとするプロバスケットボールチームで、B.LEAGUEに所属しています。チーム理念は「強く愛されるモチベーションあふれるチーム」で、地域との関わりを深めつつ活動しています。
宇都宮市が主催する「宇都宮アクセラレーター2024」は、スタートアップ企業の支援を目的としたプログラムで、企業の技術やサービスの社会実装を推進する役割を果たしています。SHIN4NYと宇都宮ブレックスの共同実験は、このプログラムの一環として、革新的な場を提供し地域経済活性化に寄与することが期待されています。
今後もSHIN4NYの取り組みに注目が集まる中、観客の声から熱狂を「見える化」する技術は、スポーツ観戦の未来を変えるかもしれません。