肝疾患と大腸癌の関係
2025-02-19 10:04:54

脂肪性肝疾患が大腸癌リスクを高める新たな研究成果

脂肪性肝疾患が大腸癌リスクを高める新たな研究成果



最近、信州大学を中心とした国際共同研究が、脂肪性肝疾患が大腸癌のリスクを高める可能性についての重要な成果を発表しました。この研究成果は、医療専門誌「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に掲載され、注目を集めています。研究では、脂肪性肝疾患(Steatotic Liver Disease, SLD)における大腸癌リスクについて新たな知見が得られました。

脂肪性肝疾患の現状



脂肪性肝疾患は、特に日本国内での有病率が推定20~30%に達する疾患で、過剰なアルコール摂取や代謝異常が関連しています。これにより、肝疾患の進行や合併症が懸念されています。

研究の概要



この研究は、信州大学、武蔵野赤十字病院、そしてUniversity of California, San Diego (UCSD)が協力して行いました。研究チームは、改訂されたコーホートデータを用いて、SLDのサブタイプに関する大腸癌リスクを評価しました。解析は全国規模の638万人を対象に行われ、年齢や性別、生活習慣病などを考慮した上で、リスク上昇が計測されました。

研究結果



結果として、次のようなことが明らかになりました。まず、アルコール関連肝疾患(ALD)にかかる患者の大腸癌発症リスクは、対照群と比べて約1.73倍高いことが確認されました。また、代謝機能障害アルコール関連肝疾患(MetALD)の患者では1.36倍、代謝機能障害関連脂肪肝疾患(MASLD)の患者では1.28倍のリスク上昇が見られました。

SLDの新しい分類



2023年には、SLDの新しい分類が国際的に提言され、従来の「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」という概念が再検討されています。この新しい分類では、ALD、MetALD、MASLDの三つのサブタイプが定義され、これによりそれぞれの疾患におけるリスクがより明確に評価されるようになりました。例えば、ALDは過剰なアルコール摂取による脂肪肝であり、MetALDは中程度のアルコール摂取を含む代謝異常によるものとなっています。

今後の課題



この研究成果から得られた知見をもとに、特にALD患者に対し、大腸癌のスクリーニングプログラムの強化が必要です。また、MetALDやMASLDの予防策についても取り組んでいく必要があります。SLDの分類を用いた新たなアプローチこそが、今後の癌予防戦略において重要な役割を果たすことが期待されます。

研究に関する詳細



この成果に関する論文は、「Colorectal Cancer Incidence in Steatotic Liver Disease」と題され、専門誌「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に掲載されています。興味のある方は、以下のリンクから閲覧可能です。

論文のリンク

本研究が示した知見は、脂肪性肝疾患患者に対する新たな視点を提供し、医療現場に役立つ情報となることでしょう。


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