スマートセルでリコピンを大量生産
ハリマ化成株式会社と公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)は、スマートセルを用いてリコピンの大量生産技術を開発しました。この技術は、化粧品、サプリメント、そして食品分野で需要が拡大しているリコピンを効率的に製造することを可能にします。
リコピンはカロテノイドの一種で、抗酸化作用が特徴です。しかし、従来の植物抽出法では、生産の季節性や品種による制約があり、石油由来の合成法では環境負荷が懸念されていました。こうした背景から、2020年度にNEDOが始めた本事業は、バイオエコノミーを推進し、持続可能な社会の実現を目指しています。
スマートセルのメリット
開発されたスマートセルは、リコピンの生産性を大幅に向上させることに成功しました。Corynebacterium属の細菌を宿主に利用し、遺伝子工学を駆使して生合成経路の強化を図った結果、従来株に比べて100倍以上の生産性を実現しています。これにより、グラム単位でリコピンを生産することが可能になりました。
さらに、この製造プロセスは二酸化炭素排出量を削減できるだけでなく、食料との競合を避ける点でも注目されています。商用スケールでの培養実証も完了しており、2026年度内には一貫製造体制を確立し、リコピンの商用展開を開始する計画です。
高純度リコピンの特長
ハリマ化成では、スマートセルによって生産されたリコピンを工業的に回収・精製するプロセスの構築も進めています。この精製工程では、高純度のリコピン粉末の開発が行われており、扱いやすく、様々な用途に適用できる特性があります。
また、カロテノイドの体内吸収性が低いという課題に対して、ハリマ化成は機能修飾工程を取り入れた高機能リコピンを開発予定です。この高機能リコピンは、化粧品市場で求められる安全性試験にもクリアしており、今後は食品や医薬品グレードへも展開する計画があります。すべての製品は、各市場の関連法規やガイドラインに従って製造されます。
今後の展開
本事業を通じて、ハリマ化成はリコピン製品の市場展開を順次進める予定であり、この新しい製造技術を活用して素材の有用性を引き出していく方針です。2026年度内にサンプルとしてのワークを開始し、その後商用生産を目指して関連機関や企業とのコラボレーションを強化していくことで、持続可能な社会の実現に寄与していきます。