人手不足が影響する2026年度正社員採用動向
株式会社帝国データバンクが実施した「2026年度の雇用動向(採用)」に関する調査によると、正社員を採用する意向がある企業の割合は60.3%に達し、3年ぶりに上昇傾向を見せています。この調査は全国で約23,568社を対象に行われ、雇用市場の変化を反映した結果です。
人手不足の実態と企業の意識
正社員の採用意欲が高まった背景には、依然として続く人手不足が大きく影響しています。退職者や高齢化に伴う補充需要が生じているほか、事業の拡大を見越した企業の“攻めの採用”も目立ちます。採用予定があると答えた企業の中で、採用人数を「増加する」と回答したのは24.0%に達し、前回調査からも明らかに意向が強まっています。
企業からは「技術者など特定の職種での不足感が高まっている」「業務の成長に伴って人員確保が必要」といった声が上がり、従来の人員を補充するだけでなく、成長のための採用が求められています。
採用形態別の状況
採用形態別に見ると、新卒者の採用予定が36.9%、一方で中途社員の採用予定は52.4%となり、中途採用がはるかに優勢です。この傾向は大企業だけでなく中小企業でも確認でき、新卒ではなく経験とスキルを持つ中途社員を重視する声が多数寄せられました。
中小企業の厳しい現実
しかしながら、採用予定がない企業からは「売上の減少や人件費の高騰で現員の給与支給が精いっぱいで新たな人員を増強する余裕がない」との意見が多く見られます。特に中小企業では、大企業との賃金格差が大きな障壁となっており、その結果お金をかけられない状況が続いています。これにより新卒の採用も非常に困難になっています。
業界ごとの傾向
業界別に見ていくと、運輸・倉庫業界の採用予定は70.4%と最も高く、製造業も67.1%と堅調です。特に医療・介護といった業種においては人手不足感が強く、求人が非常に求められています。
非正社員採用の減少
一方で非正社員の採用予定については41.2%と3年連続での減少を示しています。企業からの声では、「現在いるスタッフで業務は賄えているので、新たに採用する予定はない」といった意見がある一方で、正社員転換を進める企業の姿勢も見受けられます。
企業の多様な採用戦略
このような中、多くの企業が採用の方法や戦略を見直し、フリーランスの活用や外国人労働者の受け入れを検討しています。また、AIを活用した業務の自動化による省力化も進められており、多様な人材の確保や労働環境の改善が求められています。
結論:求められる政策的支援
このような厳しい環境において、特に中小企業は賃金上昇や待遇面での競争が激化しています。そのため、政策的な支援策が求められています。賃上げ負担への支援、外国人雇用の規制緩和、省人化投資への支援等、多面的な政策で中小企業の支援が必要不可欠となっています。