SI&Cと共同印刷が完全プライベート型LLMの実証実験を開始
株式会社SI&Cは2025年4月より、共同印刷株式会社と協力して、完全プライベート型ローカル大規模言語モデル(LLM)の実証実験を行うことを発表しました。このプロジェクトは、データの秘匿性や知的財産の保護が重要視される業界において、AI技術の新たな利用を模索するものです。
背景と目的
近年、クラウドベースの生成AI技術が広まり、さまざまな企業で導入が進んでいます。しかし、多くの企業は営業秘密や著作権、特許といった機密情報を扱っているため、外部ネットワークを通じたAIの活用には慎重にならざるを得ません。そのため、完全にプライベートな環境でAIを利用したいというニーズが高まっています。
この実証実験は、企業のこうしたニーズに応えることを目的にしています。SI&Cは、このローカルLLMの実用化を目指し、様々な特徴を盛り込んだシステムを開発します。
実証実験の概要
この実証実験では、以下の主な特徴が取り入れられています。これにより、AIの導入はさらに加速されることでしょう。
2.1 完全オフライン環境での運用
このシステムは外部ネットワークと一切接続せず、専用端末内で全ての処理を完結します。これにより、データの安全性が最大限に確保されます。
2.2 高度なセキュリティ対策
完全プライベートな環境で処理が行われるため、データ漏洩のリスクは実質的にゼロとなります。
2.3 カスタマイズ性の高いAIモデル
印刷業界の特性に合わせたシステム構築が可能で、営業資料の自動生成や顧客対応の効率化を図ります。
2.4 スケーラビリティと拡張性
将来的な全社展開を視野に入れた設計がされており、他業種への展開も可能です。
期待される効果
本実証実験から得られる期待される効果は多岐にわたります。まず、業務効率の大幅な向上が見込まれています。具体的には、AIの導入により営業資料の作成時間が30%短縮される計算です。
情報セキュリティも強化され、機密情報の漏洩リスクは実質ゼロとなります。また、AIを利用したイノベーションの加速によって、新規事業創出の可能性も広がり、データ駆動型経営への転換が促進されます。結果的に、クラウドサービスの利用コストを大幅に削減し、長期的な所有コストも低減することができるでしょう。
さらに、AIの利用が新人社員の成長を促す環境を作り出すことで、人材育成の効率も向上します。
今後の展開
本実証実験の成功を基に、SI&Cは完全プライベートローカルLLMのソリューション化を進め、2025年度内での市場投入を目指します。特に、金融、製造、医療など、高度な情報管理が求められる業界への展開を計画しています。今後5年間で300社の導入を目標にした野心的なプランを掲げています。
開発責任者のコメント
SI&Cの増田航太 Corporate Officer DX Solution Unit Leaderは、「当社の強みであるシステムインテグレーション技術と、共同印刷様の豊富な業務知見を融合させることにより、世界最高水準のプライベートAIソリューションを提供できると確信しています」と述べました。
共同印刷の滝口祐美 IT統括本部長も、本実証実験を通じて高セキュリティのAI利活用を実現し、お客様が期待するAI-readyなデータ利用を追求することを強調しました。
SI&Cについて
SI&Cは独立系のシステムインテグレータとして、様々な業務アプリケーションやアプリケーション基盤の設計・開発を行っています。国際的なプロジェクトマネジメント資格「PMP」の取得に向けて社員をサポートし、国内では数少ない最高レベルの「CMMIレベル5」を達成しています。今後も、最先端技術を駆使しつつ企業の業務革新を支援していく方針です。