防災訓練の認識と参加意欲の現状
最近の調査によると、日本での企業における防災訓練の実態が明らかになりました。TSP太陽株式会社が実施したアンケートは527名の会社員を対象に、防災訓練の内容、参加意欲、そして評価を測定しました。この結果に基づくデータから、防災意識の低下や、訓練内容に対する不満が浮き彫りになってきています。
1. 防災訓練の実施状況
まず、企業における防災訓練の実施頻度を見てみましょう。2025年の調査では、年に2回以上行っている企業が16.7%、年に1回以上が38.9%と、合計で90.3%となっており、結果として9割を超える企業が何らかの形で防災訓練を行っていることが確認されました。しかし、その一方で定期的な訓練を実施する企業の割合は減少しています。
2. 参加意欲の低下
次に参加率ですが、2023年や2024年では防災訓練に毎回または日程が合う場合に参加するとの回答が約9割を占めていました。しかし、2025年にはこの割合が75.8%に減少していることから、参加意欲も明らかに低下していることがわかります。
3. 訓練の内容と時間
防災訓練で実施される内容について、特に多くの企業が「避難動線の確認」や「シミュレーションによる館内放送」を行っていますが、その訓練の大半は30分未満という短い時間で実施されていることも問題です。このことは、実際の災害時における対応力に影響を与える可能性があると考えられます。
4. 安全確保の意識低下
安否確認方法や避難場所の認識に関するデータも重要です。安否確認の手順が「ある」と答えた人は2023年には72%でしたが、2025年には50.7%にまで減少。また、避難場所を認識しているという回答も2024年の64.4%から2025年には52.8%に減少しており、災害時の行動に必要な意識が低下していることが明らかです。
5. 防災意識の再構築が必要
調査結果からは、防災訓練が形式的になりつつあることや、参加が義務付けられていないため実施されないことも問題視されています。具体的には、「形式だけになっている」と感じる方が50%に達している一方で、個人の役割が不明確であることや、実際のリスクを想像しにくい点も指摘されています。
6. 行動を変えるために
防災訓練は災害による被害を軽減するための重要な要素です。しかし、意欲が低下し、参加も難しくなっている現状を打破するためには、企業全体としての取り組みが求められます。地域の防災訓練にも積極的に参加し、災害時における適切な行動を身に着けることが重要です。
7. まとめ
防災意識の低下は私たちの安全に直結する問題です。企業はもちろん、個人もその意識を高め、常日頃からの訓練を通じて自分自身と仲間を守る行動を認識していく必要があります。私たち一人一人が「命を守る」行動を意識し、日々の準備を怠らないことが求められます。