バッテリー先進人材普及ネットワークBATONの設立
2023年10月、バッテリー先進人材普及ネットワーク(BATON)が新たに設立された。このネットワークは、次世代のバッテリー人材を育成・確保するために、産官学の連携を強化し、全国規模での教育プログラムの展開を目指すものだ。
背景と目的
BATONの設立に至った背景には、経済産業省が2022年8月に策定した蓄電池産業戦略がある。この戦略は、2030年までに国内の電池や材料の製造基盤を150GWhにまで拡充することを目標としている。一方で、この目標の達成には、約3万人の電池人材の育成が不可欠であり、人材確保はこの戦略の中心的な要素となっている。
これを受けて、2022年8月には「関西蓄電池人材育成等コンソーシアム」が立ち上がり、初めての産学連携型の教育プログラムが試行された。このプログラムの成果は顕著で、関西地域内では30の学校で電池教育が実施され、受講者数は累計約1,500名に達した。こうした成果を基に、BATONは全国展開を視野に入れた活動を開始する。
BATONの活動内容
BATONの全体的な機能は、教育プログラムの開発を行い、大学・高校・高専を対象とした実践的な教育を充実させることにある。企業との交流を促進し、学生がバッテリー業界に対して興味を持ち、さらにはその業界に進むことを目的とした取り組みも行う。具体的には、2025年9月29日に準備会合を開催し、今後の方針について意見交換が行われた。この場では、高校や大学での実践的な教育内容の充実と、企業との協力を強化することが議論された。
BATONは、2025年11月下旬には第一回目の正式な会合を計画しており、その後も次年度以降に幅広い教育プログラムの普及に取り組む方針だ。また、準備会合における内容は今後も進展していく予定で、各種委員会からのアクションプランも合意に向けて動き出す。これにより、BATONが電池業界における人的資源の中心的な役割を果たすことを期待されている。
協力機関と教育機関
BATONには、電池業界の企業や教育機関、自治体が数多く参画している。例えば、一般社団法人電池サプライチェーン協議会や株式会社ジーエス・ユアサコーポレーションなどがその中に含まれている。さらに、東京大学や早稲田大学などの多くの高等教育機関からも教授陣が参加している。
おわりに
BATONは、脱炭素社会やデジタル化の進行に合わせた次世代の人材育成を目指しており、バッテリー産業の持続可能な成長に貢献することを目指している。今後の活動が、バッテリー人材の育成にどれほど寄与できるか、皆の期待が高まる。