マンダムの新たな研究成果:TRPチャネルの多様な機能
株式会社マンダムは、温度や酸性・アルカリ性への感受性が変化する細胞の感覚センサー「TRPチャネル」に関する新たな研究成果を発表しました。この研究は大阪大学大学院、名古屋市立大学、東京大学の教授陣との共同で行われ、TRPチャネルがどのように皮膚の各細胞で機能するかに焦点を当てています。
研究の背景
TRPチャネルは、温度だけでなく、様々な環境変化を受け取るポリモーダル受容体として既知であり、多くの細胞においてそれぞれ異なる役割を果たしています。これまでにもTRPチャネルは様々な産業で活用されてきましたが、皮膚周辺細胞におけるその発現状況や環境要因による影響については十分に解明されていませんでした。
研究概要
この研究において、マンダムの研究グループは皮膚の表皮角化細胞や免疫細胞、汗腺構成細胞におけるTRPチャネルの遺伝子発現を解析しました。特に、汗腺において発現するTRPV4とTRPV3の役割が明らかになり、発汗調節において重要であることが示されています。
さらに、この研究では 환경の温度やpHがTRPチャネルに与える影響についても注目しました。環境の変化が、それぞれのTRPチャネルの活性にどのように影響するかを確認し、多様な反応パターンを明らかにしました。
研究の成果
1.
皮膚のTRPチャネル発現パターンの解明
表皮角化細胞や様々な免疫細胞の遺伝子発現が解析され、TRPチャネルの発現パターンが明らかになりました。特に、汗腺の分泌管においてTRPV4が発現し、汗の生成に関与していることが確認されました。
2.
pHと温度がTRPチャネルに与える影響
温度やpHの変化がTRPチャネルの活性に及ぼす効果を調査した結果、各チャネルは温度とpHの変化に対して異なる反応を示すことが分かりました。この知見は、感覚神経や皮膚の反応を理解する上で欠かせない情報です。
3.
冷感に関する新たな発見
アルカリ性条件において、メントールによる冷感が増強されることが確認され、TRPM8がアルカリに対応することでその感覚が強くなることが示されました。
この研究結果は、2025年にフランスで開催される「IFSCC Congress」で発表される予定です。この大会は、化粧品技術者たちが最新の研究成果を報告し議論する場として重要視されています。
今後の展望
マンダムは、TRPチャネルの新たなメカニズムを解べており、今後もこれを基に製品開発を進め、安全性や快適性を追求した新たな価値を創造していくことを目指しています。本研究は、化粧品の使用時における複雑な環境効果の理解を深め、より効果的な製品の開発に繋がることでしょう。
今後もTRPチャネルの研究成果を継続的に活用し、消費者に喜ばれる製品作りに寄与する方針です。