次世代AIアクセラレータ「ZIA A3000 V2」の登場
株式会社ディジタルメディアプロフェッショナル(以下、DMP)が、次世代のニューラルプロセッシングユニットIP「ZIA A3000 V2」を発表しました。2024年11月より本格的な提供が開始されるこの製品は、エッジAI半導体向けに設計されており、性能向上と低消費電力、小面積という特長を兼ね備えています。この革新的な技術は、エッジAIの進化を加速させ、様々な分野での利用が期待されています。
A3000の特長
スケーラブルな性能と精度サポート
「ZIA A3000 V2」は、演算器やコアの数を調整できる柔軟なアーキテクチャに基づいており、最大で40TOPS以上の推論能力を持つことが特徴です。これにより、画像処理や複雑なAIアルゴリズムの実行が可能に。さらに、マルチコア構成を採用することで、異なるAIモデルを同時に推論処理でき、タスクの効率化を図れます。具体的な数字としては、FP16、INT8、INT4、FP4など多様な精度での演算が可能であり、利用シーンに応じて最適な処理を行います。
小面積での高性能
同クラスの製品と比較して、搭載面積は50%以上の削減を実現。これにより、より小型のデバイス内でも高い性能を発揮することができます。コアあたりには96~2048個のMACユニットが搭載され、マルチコア構成にも対応しています。この柔軟な構成は、小型チップサイズに合わせて対応可能な設計となっています。
エッジAIデバイスへの最適化
独自のアーキテクチャにより、性能と電力効率、面積効率を高次元で両立させています。特にエッジデバイスという厳しい条件下でも、高い処理性能を維持することができます。アダプティブパワーマネージメント機能を搭載し、動作しないときは自動的に消費電力を削減することができ、長時間使用が求められるセキュリティカメラなどに最適です。さらに、物体検出や顔認識などのビジョンAIタスクに特化したONNX命令セットもハードウェアで処理可能です。
包括的な開発環境の提供
「ZIA A3000 V2」は、エッジAI SoC開発者向けに包括的な開発環境を提供します。SDKはPyTorch、TensorFlow、ONNXなど主要なAIフレームワークに対応しており、既存のAIモデルをスムーズに移植できる環境を整えています。また、高度なプロファイリングツールにより、メモリ使用量や性能を詳細に分析可能です。ボトルネックの特定や最適化も支援しており、開発効率を向上させます。
幅広い応用分野
「ZIA A3000 V2」は、モビリティやセキュリティ、ロボティクス、スマートシティといった多様な分野に適用可能です。特に、自動運転技術や高性能AI監視カメラ、サービスロボットへの活用が望まれます。
今後の展望
DMPの代表、山本達夫社長は、「A3000」は半導体技術力とAIソリューション開発の集大成であるとし、この製品を通じて次世代AIデバイスの開発をサポートする考えを示しています。世界中の企業がこの技術を活用し、日本の先端半導体技術を世界に広めることが期待されています。これからのDMPの取り組みは、エッジAIコンピューティング技術やGPU技術の革新を進め、業界の成長に貢献していくことでしょう。
会社概要
DMPは2002年に設立以来、独自に開発した組込機器向けのグラフィックスIPやソフトウェアIPのライセンスを行い、近年ではAI分野でも世界的な競争力を持つ企業としての役割を果たしています。AIプロセッサIPや関連サービスの幅広いポートフォリオを展開し、持続的な技術革新を追求しています。「ZIA A3000 V2」は、その成長戦略の一環として重要な役割を果たすと思われます。