映画「シサㇺ」秘話
2024-06-26 14:18:36

「シサㇺ」の舞台裏!白糠町が支えた映画制作秘話

北海道白糠町が支えた映画『シサㇺ』の制作秘話



2024年9月13日に公開される映画『シサㇺ』は、アイヌと和人の歴史を壮大に描いた歴史スペクタクル作品です。舞台となった北海道白糠町では、町民の皆さんが様々な形で映画制作に関わっています。

映画『シサㇺ』は、江戸時代前期、松前藩とアイヌの関係を背景に、アイヌとの交易で得た品を他藩に売る仕事をする孝二郎が、兄の死をきっかけに蝦夷地へと旅立つ物語です。アイヌとの出会いを経て、孝二郎は大切なことに気づいていくという、歴史と人間ドラマが融合した作品です。

白糠町では、映画の公開を前に、制作を陰ながら支えた町の人々に話を伺いました。町全体が一丸となって作り上げた映画『シサㇺ』の制作秘話や、現場の雰囲気、アイヌ文化にまつわる興味深いエピソードなどを紹介します。

# 白糠町の人々の熱意!試写会は大盛況



完成した映画は、いち早く白糠町の人々に届けられました。2024年3月31日に行われた白糠町社会福祉センターでの試写会には、町民や関係者約300名が集まり、会場は熱気に包まれました。主演の平野貴大さんの軽快なトークは大いに盛り上がり、監督の中尾浩之さんは「脚本を読んで、この作品は今作るべきだと確信しました。町民の皆さんのおかげで無事に完成しました。本当にありがとうございました」と感謝の言葉を述べました。観客からは「壮大な歴史の物語で、今を生きる私たちにも考えさせられる素晴らしい作品」と絶賛の声が寄せられました。

# 映画制作を支えた4人の人物



## 1. 白糠町役場 保健福祉部介護福祉課長 吉田昌司さん



映画制作に尽力した白糠町役場 保健福祉部介護福祉課の課長、吉田昌司さんは、映画の調整役として、制作陣からの様々な要望に対応しました。アイヌの伝統的なマレク漁のシーンでは、鮭を用意したり、エキストラが足りない分を職員で調整したりと、毎日幅広く対応しました。撮影期間中は、役場の職員約180名が一丸となって映画制作をサポートしたそうです。

吉田さんは、映画のためにヨシを刈る作業も担当しました。白糠町のいたるところに生えているヨシは、アイヌが住むチセ(家)のセットに使用されます。町の職員みんなで「映画のためだ、みんなでやるか!」と意気込み、ヨシを刈りに行ったのですが、刈っても刈っても足りない状況だったそうです。手作業でやっても、草刈り機を使っても思うように進まず、最終的には時間が足りず、全てを揃えることはできなかったとのことですが、セットの半分くらいは福祉課で揃えられたそうです。

## 2. 白糠町役場 保健福祉部町民サービス課生活環境係 谷口加奈さん



プロットの段階から映画制作に携わっていた白糠町役場 保健福祉部町民サービス課生活環境係の谷口加奈さんは、鋭い感覚で様々な意見を出し、積極的に映画に出演もしました。谷口さんは、脚本の推敲を重ねていく過程を見ることができ、脚本家さんの努力の一端を知ることができたと語ります。

映画の完成については「主人公の孝二郎がこんな姿でこんな風に活躍しているのかと、とても感動しました」と語り、映画への強い思い入れを感じました。また、アイヌの女性役でエキストラ出演し、アイヌ独自の伝統漁であるマレク漁を体験したことを「貴重な経験になった」と話していました。

## 3. 白糠アイヌ文化保存会 会長 磯部惠津子さん



映画では、当時のアイヌ料理を再現する重要な役割を担ったのが、白糠アイヌ文化保存会 会長の磯部惠津子さんです。磯部さんは、映画を通してアイヌ文化を次世代に伝えたいという強い思いを持っています。

映画では、ふきの剥き方や鮭の捌き方から、かじか汁や鮭のオハウ(汁もの)など、様々なアイヌ料理を再現しました。磯部さんは「かじか汁は、魚自体に味があってお出汁もよく出ます。一度食べたら忘れられなくなる味なんです」と、かじか汁の魅力を語りました。映画の中で、かじか汁が出てきたら、ぜひ注目してみてください。

磯部さんは、娘さんと孫さんと3世代に渡りエキストラ出演しており、娘さんはセリフのある役を演じました。映画にはアイヌの教えが散りばめられており、磯部さんは「鮭を獲ったあとに頭を叩くのは、動物や魚に敬意を払い、命を無駄にしないという教えです」と、アイヌの教えについて説明しました。

## 4. 白糠町議会議員 池村美博さん



映画の企画から携わり、「アイヌと和人の橋渡し的な存在」と言われる白糠町議会議員の池村美博さんは、映画の全てを知る人物です。池村さんは、映画の題字やエンドロールに流れるキャストの名前を書き、アイヌの文化を尊重しながら、日本語として読めるけどアイヌ文様に見えるようにという難しい発注に応えました。

池村さんは、映画の撮影現場では熊が出没する可能性に備え、ライトのついたヘルメット、懐中電灯、笛、ナタ、警棒、爆竹を持ち歩き、熊対策にあたりました。熊は出なかったものの、池村さんの行動力は、撮影現場の安全を守るため、まさに必死の努力だったことがわかります。

# 映画『シサㇺ』が伝えるもの



映画『シサㇺ』は、アイヌの文化や歴史を深く理解するだけでなく、現代社会にも通じる重要なメッセージを伝えています。自然を大切にすること、必要以上に獲らないこと、みんなで分け合って助け合って生きていくことなど、アイヌの教えは、まさにSDGsの考え方に通じていると言えるでしょう。

映画を観終わった後には、ぜひ白糠町を訪れて、聖地巡礼を楽しんでみてください。

映画『シサㇺ』を観て



映画『シサㇺ』を観て、最も印象に残ったのは、白糠町の人々の熱意とアイヌ文化の深さでした。

白糠町役場の職員の方々、アイヌ文化保存会の方々、そして町議会議員の方々など、様々な立場の人々が映画制作に積極的に関わり、町全体で映画を盛り上げていたことが伝わってきました。特に、吉田さんや谷口さんのように、普段は行政業務に携わっている方々が、映画制作に熱心に取り組んでいた姿には感動しました。

映画を通して、アイヌの伝統的な生活や文化に触れることができ、彼らの自然に対する敬意や、助け合いの精神に感銘を受けました。特に、磯部さんが語っていた、鮭を獲った後に頭を叩くという行為は、命を無駄にしないというアイヌの教えを表しており、現代社会においても学ぶべき大切な考え方だと感じました。

映画『シサㇺ』は、壮大な歴史スペクタクルでありながら、アイヌ文化の奥深さや現代社会へのメッセージも同時に伝える、非常に完成度の高い作品だと感じました。白糠町を訪れて、映画の舞台となった場所を巡り、アイヌ文化に触れることで、より深く映画の世界観を味わうことができると思います。

映画を通して、白糠町の人々の温かさと、アイヌ文化の魅力を再認識することができ、非常に感銘を受けました。この映画が、多くの人々にアイヌ文化への理解を深め、白糠町の魅力を伝えるきっかけになれば幸いです。

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