昭和のたばこ文化を感じる『昭和たばこ図鑑』
昨今、昭和に対する郷愁が高まっている中で、昭和のたばこデザインを集めた『昭和たばこ図鑑』が発売されることが発表されました。この図鑑は、1926年から1989年までの約300点ものたばこパッケージを収録し、その背後にあるデザインの歴史や制作に関与した一流デザイナーたちの功績を紹介しています。監修は「たばこと塩の博物館」を担当しており、歴史的な視点に立ちながらも、一般読者にも楽しんでいただける一冊となっています。
昭和デザインの特異性
昭和のたばこデザインは、商業美術やデザイン史の中で特に重要な位置を占めています。モダンデザインの先駆者、杉浦非水や、インダストリアルデザインの巨匠、レイモンド・ローウィ、さらには戦後日本のデザイン界を牽引した田中一光といった著名なクリエイターたちが手がけたデザインは、今見ても非常に美しく、見る者を魅了します。
たばこパッケージの魅力
本書では、昭和に発売されたたばこのパッケージが持つデザイン美に注目しており、様々な時代背景を反映したカラーや形状が一堂に会しています。特に注目すべきは、グラフィックデザイナーの和田誠が手がけた1960年に発売された「ハイライト」のデザインです。彼の芸術的なセンスと広告戦略が融合し、販売数量世界一を記録したそのパッケージにまつわる秘話が語られています。
たばこデザインの進化とその歴史
昭和のたばこデザインは、ただの商品包装に留まらず、当時の日本社会や文化を反映したアートでもあります。たばこ一つであっても、デザインの背後には多くのストーリーや歴史が隠されています。例えば、65年前にデザインされた「ピース」のプロトタイプ案は、その時代の技術やトレンドを象徴するものです。読者は、そのデザインが選ばれるまでの過程を追体験し、マーケティング戦略の一端に触れることができます。
著名なデザイナーたちの作品
さらに、本書では戦前のたばこパッケージも多数掲載。「ゴールデンバット」や「チェリー」などが含まれ、やなせたかしとの意外な関係についても触れています。このような歴史的な逸話が盛り込まれていることで、ただの図録ではなく、さまざまな角度から楽しむことができる内容になっています。
まとめ
『昭和たばこ図鑑』は、デザインの美しさだけでなく、当時の文化や社会の様子を知るきっかけを与えてくれる一冊です。たばこを吸わない人にも響く、深い歴史的な魅力は必見です。発売日を心待ちにしながら、昭和のデザインの奥深さに触れてみてはいかがでしょうか。