A.T. カーニーが示すグローバル都市の新たなフレームワーク
経営コンサルティング会社A.T. カーニー(現在のブランド名はKEARNEY)は、昨今の都市環境の変化に対処し、世界の都市がどう発展していくべきかを示す新たなレポート『分断された世界をつなぐ:グローバル都市への道』を発表しました。この報告書は、2008年から実施されている「グローバル都市指標」に基づいて、都市がグローバルなリーダーシップを取るために必要な八つの重要項目を整理しています。
グローバル・シティ・フレームワークの柱
本レポートでは、都市を成功に導くための要素を分類しています。まずは、全体戦略の方向性を定めるための「ビジョンとミッション」が重要です。これに続き、以下の要素が都市の成長に必要な基本基盤を形成します。
1.
ビジネスと経済:経済面での成長を促進する要素。
2.
社会と労働力:労働力を強化するための施策。
3.
観光とブランディング:観光地としての魅力を高める取組み。
4.
環境と持続可能性:環境問題に対処するための施策。
5.
インフラとモビリティ:整備されたインフラが求められる。
6.
研究開発とイノベーション:技術革新を促進する施策。
7.
ガバナンス、制度、資金調達:計画的な資金管理が重要です。
これらの要素は相互に依存しているため、一つでも欠けると都市の成長が阻害されてしまいます。
アジア太平洋地域の都市の現状
2024年版のグローバル都市指標では、東京やシンガポール、北京、上海、香港などがトップ10に名を連ねるなど、アジア太平洋の都市が強い存在感を示しています。特に、ビジネス環境や社会的要因が都市の競争力に影響を与えており、各都市は様々な取り組みで成長を目指しています。
特に、シンガポールではTech.Passや福岡市のスタートアップビザ制度により、労働力が強化されています。さらに、観光地としての魅力を高めるためにバンコクでは営業時間の延長や安全対策を強化し、夜の経済活動を活性化させています。
また、環境問題への対応として、東京の革新的なインフラは急速な都市化に伴う洪水リスクを軽減する成功例とされています。
経済発展と持続可能性の道
本レポートの共著者、ジャカルタオフィスのシャーリー・サントソは、都市の成功には「資金」、「人材」、「官民連携」が不可欠であるとし、様々な資金源から持続可能な資金調達に重視する必要があると強調しています。また、4つの要素を体系的に連結させることで、都市の競争力が確保できると述べています。
A.T. カーニーは、都市が長期的な戦略を基に進化し、国際競争力を高めるための支援を続けていく姿勢を示しています。
都市が特有の強みを活かし、未来に向けたビジョンを持つことで、真の繁栄を実現することが可能です。これからの道筋は単に都市の現状を改善するだけでなく、全体的なグローバルな成長を促進することを目指していることは間違いありません。
まとめ
A.T. カーニーの『分断された世界をつなぐ:グローバル都市への道』は、これからの都市が取るべき戦略を具体的に示したレポートです。このフレームワークを参考に、各都市は持続可能かつ魅力的な環境を整え、国際的な競争力を高めていくことが求められています。