ヒグマ対策DX「クマハブ」で標津町が迅速な対応を実現
北海道の標津町において、ヒグマへの対策を強化するため、エゾウィン株式会社が開発した野生鳥獣対策DXソリューション「クマハブ」が導入されました。このシステムは、自治体職員とハンターの連携をサポートし、住民の安全確保に貢献しています。特にヒグマ出没の緊急事態において、その効果を発揮しました。
「クマハブ」とは?
「クマハブ」は、市街地でのクマの出没に対処するために特別に設計された統合ソリューションです。従来、出没時には自治体や警察、ハンターなどがそれぞれの通信システムに依存し、情報の共有が難しい状況でした。しかし「クマハブ」を導入することで、リアルタイムで情報を一元化し、迅速な対応が可能になるのです。
このシステムには高精度のGPSロガーと情報共有ソフト「レポサク」、専用タブレットが組み合わさっており、ハンターや自治体職員が手元のスマートフォンやタブレットで出動状況やクマの目撃地点を確認できます。これにより、両者の間で効果的なコミュニケーションが生まれ、未曾有の事態にも迅速に対応できる体制が整います。
実際の対応状況
確保された情報をもとに、ある日、標津町川北エリアにヒグマが出没したとの連絡が入りました。16:56にアラートが発信され、すぐに「クマハブ」を起動し、2名のハンターが現場へ向かいました。
ハンターは17:13に現場に到着。互いの位置を「クマハブ」により把握し、安全を確認しながらヒグマの追跡を開始しました。迅速な位置取りによって、彼らは17:20には2頭のヒグマを駆除することに成功、出没からわずか36分という短時間での完了となりました。このスピーディーな対応は、「クマハブ」の導入によって可能になったのです。
「クマハブ」によるハンターの安全性向上
市街地でのヒグマの駆除は、高リスクな作業です。従来は、ハンターたちが声や経験に頼らざるを得ない場面が多くありました。しかし「クマハブ」を通じて得られるリアルタイムな位置情報は、ハンター同士の連携を大いに支えています。
出動したハンターが互いのスマートフォンで位置を確認し合うことで、誰がどこにいるのか、いつどのように動くべきかを把握することが可能です。これにより、ハンターはより安全に、そして効果的に行動できるようになりました。
自治体職員の意見
「現場に出ると、経験値はあっても実際の位置が確認できていなければ意味がありません。『クマハブ』のおかげで、航空写真からお互いの位置関係を把握でき、判断がしやすくなりました。ヒグマの繁殖期には母子クマの出現も多く、周囲のリスクも高くなります。その中で速やかに行動できるツールは、現場を支える大きな助けです」と自治体職員はコメントしています。
新たな可能性
この事例は、単なる駆除の成功に留まらず、ハンターの経験と現代のDX技術の融合がもたらす新しい鳥獣被害対策の可能性を示しています。「クマハブ」は、今後もハンターの活動を支え、地域住民の安心感を高めるための重要なツールとして機能するでしょう。
エゾウィンについて
エゾウィン株式会社は、2019年に北海道標津町で設立された企業であり、地域の野生動物管理についてのソリューションを提供しています。約四年の間に多くの賞を受賞し、地域の農業や生態系の持続可能性を支える決意をもっています。今後も「クマハブ」のさらなる活用を通じて、地域社会への貢献を続けていく所存です。