舞台制作の安全確保に向けたガイドラインが最新版に!
劇場等演出空間運用基準協議会(以下、基準協)が発行する「劇場等演出空間の運用および安全に関するガイドライン」が、最新版ver.4として公開されました。
基準協は、舞台技術者や公演制作者など14団体が集まり、公演制作を安全に進めるためのガイドラインを発行しています。このガイドラインは、2007年から研究・改訂を重ねられており、分野横断的な取り組みによって文化庁「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン」(2022)でも参照されています。
今回の改訂版では、2018年以降の関係法令の改正や新たな法律の施行を踏まえ、ver.3(2017年発行)の内容を一から見直し、より分かりやすい説明と表現を目指したとのことです。
安全衛生確保のための3つの目的
多様な専門分野の人々が関わる劇場等演出空間では、意思疎通の希薄化や指揮命令系統の不明確さなどが生じやすいため、本ガイドラインは、安全衛生を確保するための共通認識として、以下の3つの点を明らかにすることを主目的としています。
1. 制作現場の安全衛生を確保するための管理体制を明確にすること。
2. 制作作業に参加する様々な分野の人々が、安全に関し共通の意識を持つこと。
3. 上記に基づき、各人がおこなうべき共通事項を明らかにし、安全に作業するための技術と意識の向上を図ること。
最新版ver.4で追加されたポイント
ver.4では、特に危険度の高い高所作業について、着用が義務付けられるようになったフルハーネス型の墜落制止用器具や、脚立の使用法などをイラストを用いて説明しています。
また、公演中のアクシデントや地震などの自然災害、火災、感染症拡大などの緊急時に、公演の再開/中止を判断するにはどのような手順と備えが必要か、なども表やチャートにまとめられています。
さらに、近年の働き方改革関連法の施行やフリーランス新法の成立も踏まえ、契約・発注のポイントも掲載されています。
安全な舞台制作のために、関係者全員で共有を!
照明、音響、舞台、映像の技術スタッフ、制作者、施設管理者など、関係者全員で共有してほしい1冊です。
全編をPDFで無料公開していますので、ぜひ公式サイトからご覧ください。
印刷版(定価:1,650円・税込)のご注文も公式サイトより承っております。
関連書籍も発行
基準協では、本ガイドラインの他に、教育機関や研修での教材として活用いただいている『舞台技術の共通基礎—公演に携わるすべての人々に』を発行しています。劇場・ホールの歴史や、舞台機構、照明、音響、映像それぞれの機器の説明、制作過程についての基礎をまとめたもので、上記ガイドラインからの掲載もあるため、ver.4の内容をふまえ、今年度中の改訂・出版を予定しています。
舞台制作の安全確保に向けた取り組みを強化
今回のガイドライン改訂によって、より安全な舞台制作環境の実現に向けて、関係者全員が共通認識を持ち、安全意識を高めることが期待されます。