株式会社大林組が、フランスのUpcyclea社が開発した資源循環データプラットフォーム「myUpcyclea」を導入し、建設資材の循環利用を積極的に推進する取り組みを始めました。このプラットフォームは、建設資材の環境性能やリユースの可能性を可視化するもので、業界に新たな風を吹き込むことが期待されています。
1. 新たな背景と目的
これまでの大林組の取り組みは、主に既存の建物を生かしたリノベーションやコンバージョン、耐震改修などに焦点を当ててきました。しかし、内装材や設備機器のリユースに関しては、仕様や寸法の違い、施工生産性の低下が課題となり、実際には多くの資材が廃棄されたり、リサイクルされるだけでした。再利用が希少である現実が続く中、サーキュラーエコノミーの推進が求められています。
これに応じて、大林組はUpcyclea社が手掛ける「myUpcyclea」を導入しました。このプラットフォームを用いることで、資材の環境性能情報を集め、新たなリユースのチャンスを掴むことを目的としています。日本国内で「myUpcyclea」を導入した企業は、今回が初めてとなります。
2. myUpcycleaの特徴
「myUpcyclea」は、建設資材の環境性能データ(デジタル製品パスポート)を基にして、CO2排出量や水使用量、資材の安全性などを比較可能にします。これにより、リユースによる環境負荷削減の効果を明確化でき、建設現場全体のライフサイクルマネジメントを支援します。また、AI機能も装備しており、解体現場から新築現場の需要に応じた資材の供給情報を迅速にマッチングします。
3. 取り組みの進展
当社は、2024年9月から2025年3月にかけて、myUpcycleaを活用した機能実証を行う計画です。この実証では、解体現場から得られる資材データや環境情報の数値化を進めるとともに、外部システムとの連携を探ります。これにより、解体現場と新築現場の関係を深化させながら、資材の循環利用を促進していきます。2025年4月以降には、さらに多くの現場に適用を広げていく方針です。
4. 未来の展望
大林組は、顧客に対して低炭素かつサステナブルな建物を提供するだけでなく、myUpcycleaに蓄積された環境性能情報を活用し、建物のライフサイクル全体を管理する体制の強化を目指します。この取り組みは、顧客の脱炭素化やESG報告の支援にもつながります。さらに、当社が得た知見を生かし、さまざまな企業や団体と連携し、建設資材のリユースを一層活性化させることで、「Obayashi Sustainability Vision 2050」に掲げる地球・社会・人のサステナビリティの実現が期待されます。
私たちの建設業界が直面する環境問題に対し、大林組が進めるこの取り組みが、持続可能な未来への重要な一歩となることを願っています。