三笠市と大気社、室内で二酸化炭素回収の実証実験
2025年の1月、北海道三笠市と株式会社大気社が手を組み、室内の二酸化炭素(CO₂)を直接回収する実証実験に向けた取り組みが始まります。この実験は、二者が環境保護に対して強い使命感を持ち、カーボンニュートラル(CN)の実現に向けて共同で進めているものです。
背景と目的
三笠市は、地域資源を利用したエネルギーの地産地消と新しい産業や雇用の創出を目指して、2008年から未利用エネルギーの活用に取り組んできました。特に、石炭や木質バイオマスを原料とした水素製造のプロセスにおいては、発生する二酸化炭素をかつての石炭採掘跡地に埋戻し、クリーンな水素を生産するハイブリッド石炭地下ガス化に力を入れています。
加えて、2021年には「ゼロカーボンシティ宣言」を行い、2050年までには二酸化炭素の排出量を実質ゼロとする目標も掲げています。
一方、大気社は、外気や室内環境からCO₂を効率的に回収する技術(DAC-Direct Air Capture)に注力しており、空調設備に関する豊富な知識を活かしながらその技術の開発を進めています。今回の実証実験は、二者の類似した目的意識が結びついて生まれました。
実証実験の実施内容
新たに設置される二酸化炭素回収装置は、三笠市の役所内の会議室に配置されます。この会議室の広さは約37平方メートルで、実験は約2〜3か月を予定しています。具体的には、空間中のCO₂濃度の低下を監視しながら、DAC技術の実用化に向けたさまざまな検証が行われる見込みです。
得られた結果は、三笠市がCO₂の有効活用や地下への貯留に関する検討に役立てるほか、大気社にとってもDAC技術の開発に活かす貴重な情報となるでしょう。両者は、実証実験を通じてのデータを元にさらなる連携を深め、早期の実用化に向けて協力していく方針です。
今後に向けた期待
この取り組みは、カーボンニュートラルを実現するための重要なステップです。三笠市と大気社が強力に連携することで、環境問題の解決に向けた具体的な成果を期待する声が高まります。特に、国内外におけるCO₂削減技術の確立と、それによる新たな雇用創出が期待されており、地域の活性化にも寄与することが見込まれています。
実施される実証実験が成功すれば、他の地域や企業にも波及効果が得られ、持続可能な未来への第一歩になるでしょう。率直なデータ公開と成功事例の共有が、今後の展開に重要な役割を果たすことが期待されます。