日本発の文化共創プロジェクト『Earth ∞ Pieces』がイタリアに向けて新たな幕を開ける
多様性と共創をテーマにした音楽祭『Earth ∞ Pieces(アース・ピースィーズ)』が、2026年3月15日にイタリア・ミラノの歴史ある劇場、Teatro dal Verme(テアトロ・ダル・ヴェルメ)で上演されることが決定しました。この公演は、ミラノ・コルティナ2026冬季パラリンピックの公式文化プログラムとしても認定され、音楽を通じて世界中の人々をつなぐ新たな試みです。
文化共創プロジェクトの誕生背景
「誰もが合奏できる社会」であることを目指して生まれた『Earth ∞ Pieces』は、ベートーヴェンの《喜びの歌(第九)》をモチーフにした新しい形の参加型音楽会です。障害の有無や年齢、音楽経験に関わらず、誰でもが共に音楽を奏でることができるイベントが特徴です。特に、東京2020パラリンピックのオープニングセレモニーでの経験を活かし、多様性と公平性、包摂性の観点から企画演出されてきました。このプロジェクトはあらゆる人々に音楽の喜びを届け、共に楽しむ場を提供することを目的としています。
音楽監督には、開会式でパラリンピック讃歌の編曲・指揮を手掛けた蓮沼執太が就任。2024年に開催されたワールドプレミアでは、様々な生活事情により演奏の機会を失った幅広い世代の音楽家が参加し、その独自の合奏は「多様性と調和の未来を体感する音楽」として多くの反響を呼びました。
ミラノ公演の概要
ミラノで行われる第2章は、障害のある音楽家が所属する「アレグロ・モデラート」という協同組合型音楽学校と、非営利文化組織「コモレビ」が主催します。イタリア、日本、日本以外の国々からも参加者を募ることで、国際的な音楽交流の場を広げます。
Teatro dal Vermeは、かつてヴェルディやプッチーニの初期作品を上演していた歴史的な劇場であり、音楽と文化の中心地であるミラノを象徴する場所です。この舞台で日本発のアートプロジェクトが展開されるのは史上初のことです。プレイヤー募集に関する詳細は、12月上旬に公式サイトで発表される予定です。
開催決定記念イベント
ミラノ公演の決定を記念して、12月5日の東京文化会館にて特別講義が開催されます。この講義では、イタリアの「アレグロ・モデラート」ディレクターのルカ・バルダン氏と、プロジェクトの発案者である栗栖良依が登壇し、音楽を通じた社会共創の可能性について語ります。
このイベントは、音楽ワークショップのリーダーやプロの音楽家など、既に音楽の現場で活動している方々を対象にしています。参加希望者は事前申し込みが必要で、定員に達し次第募集を終了します。
街と音楽の共生の未来へ
『Earth ∞ Pieces』が提供するインクルーシブな音楽体験は、多様な文化や人々を結びつけ、新たな音楽社会の未来へと希望をもたらします。このプロジェクトを通じて、多くの人々が共に音楽を楽しむことができる環境の実現に向けて、さらなる活動を展開していくことでしょう。ミラノでの公演が実現することで、世界中の人々が「喜びの歌」という共通のメッセージを持つことを期待しています。