坂井市民が語る丸岡城の未来と城山整備計画

福井県坂井市に位置する歴史的な丸岡城の城山に関する市民ワークショップが、9月11日に高椋コミュニティセンターで開催されました。本ワークショップは、坂井市教育委員会が進める整備基本計画に市民の意見を反映させることを目的にしており、丸岡城に深い関心を持つ28名が参加しました。

参加者は、グループに分かれ、丸岡城の文化財としての価値を高めつつ、保存活用を実現するための課題を話し合いました。多くの人々が城山を昔の姿に戻すことを希望し、特に「不明門」などの遺構の復元を訴える声が目立ちました。さらに、景観や観光の魅力向上を考慮した提案も出され、伐採や整地を通じ、お城の威容が見えるようにする要望も寄せられました。

また、城山周辺のバリアフリー化や観光整備に関する意見も出ました。例えば、観光客が安全にお城を巡回できるコースを設けたり、城山のライトアップでより観光地として魅力的にすることが提案されました。整備にあたる市教委は、参加者の声を基に専門家と協力し、計画を進める所存です。

市教委は昨年度、丸岡城城山の整備基本構想を策定し、今後の整備においては次世代への文化財としての価値の保存、公園としての市民の利用促進、文化財価値の認知を高める三つの柱を掲げています。この計画は2027年度から2056年度までを見据えたものとされています。

ワークショップの冒頭では、7月8日に行われた現地視察結果を基に、城山にある建物や遺構の現況、課題の説明が行われました。さらに、参加者は各グループに分かれて意見交換を行い、丸岡城の図面を用いて付箋に意見を書き込みながら活発な議論を進めました。

発表を終えた後、議論をリードしたグループからは、観光面での具体的なアイディアが語られました。たとえば、「北陸道からももっと見えるようにライトアップを行うべき」という意見や、「観光案内所から城山を周遊するコースを整備し、地域の飲食店と連携する」といった具体的な提案が出ました。参加者たちによる情緒あふれる環境を創出することに貢献しようとする姿勢が伺えました。

また、植栽の重要性についても多くの意見が寄せられ、例えば、四季に応じた木々の植栽や伐採についての提案もありました。「現在の城は樹木で見えにくい場所もあるため、視認性を高めるために木々の整理が必要」といった声が上がりました。此外、夜の管理体制についても注目され、「たばこの吸い殻が目立つため、夜間の管理を強化すべきだ」という意見もありました。

この日のワークショップでの意見は、将来的な発掘調査を踏まえて不明門などの復元が実現することを期待するものでした。一般社団法人・丸岡城天守を国宝にする会の瀬野友伸理事長は、「市民の取り組みにより、明日から取り組める課題も多く見つかった」と話し、地域の名城を後世に残す活動への意欲を示しました。

ワークショップに参加した北山大介さん（32歳）は、「丸岡城の未来について話し合う場がなかなかないので、非常に有意義な時間だった。多様な視点からの意見を聞けて参考になった。桜を中心とした植栽のイメージが強いだけに、桜が減っている現状は残念。これからもバランスを考えた整備が求められる」と述べました。市民が協力し、丸岡城を未来へ引き継ぐための一歩を進めるために活動する姿勢が市民の心を和らげ、新しい取り組みへとつながることが期待されます。