テレワーク実施率が低迷とAI導入に見る企業の現場
公益財団法人日本生産性本部が実施した第19回「働く人の意識調査」では、働く人々の意識の変化や企業におけるAIの導入、働き方の現状についての結果が明らかにされました。調査は2023年7月に行われ、1,100名の雇用者を対象にしており、テレワーク実施率が過去最低の14.5%に達し、AI導入率は26.2%と企業規模により大きな差が見られています。
調査の背景と実施方法
この調査は、2020年5月以降、継続的に行われており、雇用者の勤務先に対する信頼度や働き方への考え方を探ることを目的としています。最近の中東情勢や物価高の影響を受けた不透明な経済状況が、調査結果にどのように反映されているか注目されます。
経済に対する悲観的な見通し
調査結果によると、景気に対する不安が増しており、景気が「悪い」または「やや悪い」と感じている人は56.6%に達しました。また、今後の景気予測に関しても「悪くなる」と感じる人が増加しており、近い将来への悲観的な見方が強まっています。これは、日本の経済が困難な状況に直面していることを示しています。
テレワーク実施率の減少
テレワークの実施率が過去最低の14.5%に減少し、多くの企業が従業員のオフィス出勤を優先する傾向を示しています。調査によると、テレワークを実施する人のうち、週に「5日以上」出勤する働き手は32.5%に達し、「0日」が10.6%と最も少ない数値になっています。この結果からは、リモートワークからオフィスワークへのシフトが進行している様子が読み取れます。
AIの導入状況
AIが導入されている職場は26.2%で、従業員数が多い企業ほど導入率が高い傾向があります。1〜100名の企業では14.2%、101〜1,000名の企業では30.0%、1,001名以上の企業では54.0%という結果が出ています。また、AIを導入している場合、64.7%の人が仕事で利用していることがわかりました。
AI導入の利点としては、業務の効率化を挙げる声が58.6%を占めていますが、情報の漏洩や著作権侵害などの懸念も存在し、56.9%の人が不安を感じていることも明らかになりました。
キャリア形成と人材育成の動向
調査では、AIに関するスキル向上が求められていることが浮き彫りになり、特に「生成AI」を含むAIスキルへの関心が高まっています。一方で、近年の調査においてキャリアプランを持たない人が最多となり、労働市場における変化の重要性が指摘されています。企業や従業員は新たなスキルを学ぶ必要性を感じており、特にOff-JT(Off-the-Job Training)に関する研修を受けている人も増加しています。
結論
このような調査結果は、企業が将来の働き方や人材育成においてどのような方針を採るべきかを考えるきっかけとなるでしょう。働き方の進化を遂げる中で、企業と従業員がどのようにAIを活用し、景況感が悪化する中でも生産性を上げる努力が求められています。調査データは、今後の取り組みを考える上での貴重な道標として役立つでしょう。