運動習慣と月経随伴症状の関連性
月経に伴う症状は、多くの若年女性にとって避けられない現実です。月経困難症や月経前症候群を含む月経随伴症状は、約90%の女性が経験するもので、その影響は日常生活にまで及びます。このような中で、最近の研究結果によれば、運動習慣の有無が月経随伴症状の重症度に大きな影響を与えることが分かりました。
研究の背景
筑波大学体育系の中田由夫教授や、順天堂大学の町田修一教授、日本女子体育大学の夏井裕明教授が主導したこの研究では、日常的に運動をしていない若年女性と女子サッカー選手を対象に、月経随伴症状の重症度を比較しました。両者の生活習慣や特性の違いが、どのように症状に影響を与えるのかを探ることを目的としています。
研究の方法
2023年6月から8月にかけて、運動習慣のない女性99人と、運動習慣のある女性125人を対象にWebアンケートを実施。その結果を元に、月経随伴症状の重症度を評価しました。主に身長や体重、初経年齢、月経日数、食習慣、睡眠状況など、さまざまな要因が考慮されました。
研究結果
アンケート結果から、運動習慣のない若年女性では、月経日数の長さやストレスレベルが症状の重症度と関連していることが分かりました。一方、運動を定期的に行う女性では、ボディマス指数(BMI)が高いことや就寝時間の遅さ、カフェインの摂取、朝食の頻度が少ないことが重症度に影響を及ぼしていることが確認されました。
これにより、月経随伴症状の重症度に影響する因子は、運動習慣によって異なることが明らかになりました。運動習慣のない女性にはストレスや月経の持続時間が主な要因となる一方で、運動をする女性には生活習慣が影響を与えていることが示されました。
今後の展望
この研究結果は、女性の健康支援や生活の質を向上させるための基礎データとなることが期待されています。今後、特定の生活習慣の改善が症状軽減に寄与するか、またはそれにより生活の質がどのように変化するかを検証することが重要です。また、この研究を通じて、女性アスリートの健康管理やストレス軽減策の開発に貢献できることを願っています。
参考資料
本研究は、順天堂大学女性スポーツ研究センターの支援を受けて実施されました。掲載論文は「Comparison of factors associated with the occurrence of menstruation-related symptoms in Japanese women without exercise habits and female soccer players: A cross-sectional study」と題し、BMC Women's Healthに掲載されました。