遠隔妊婦検診の初の試み
ウィーメックス株式会社が提供するリアルタイム遠隔医療システム「Teladoc HEALTH」が、2024年10月に北海道後志地方で初めての実証実験を行いました。この試みは、妊婦さんや医療従事者の負担軽減を目的としています。
産婦人科の減少とその影響
近年、日本国内では産婦人科や産科を担う医療施設の数が減少傾向にあり、特に小樽市やニセコ町を含む北海道後志地方では、わずか1か所の病院「小樽協会病院」が分娩対応施設として残っています。この状況は、妊娠中の女性や医療関係者にとって、深刻な負担となっているのです。
課題解決に向けて
小樽協会病院はおよそ2年前に電話を使用した遠隔妊婦検診の試行を行いましたが、その結果は限定的でした。音声だけでは提供できるサポートが難しく、医療機器の使用において助産師が戸惑うことも多く見られました。また、スマートフォンカメラを用いた試みでも、遠隔の医師が必要な画像を確認することが難しいという問題がありました。
今回の実証実験で使用された「Teladoc HEALTH」では、超音波診断装置の画像品質を高め、プローブの操作指導をよりスムーズに行えるように改良されています。実験結果によると、数々の利点が評価されました。
実証実験の内容
実証実験には小樽協会病院の専門医が岩内協会病院に設置した「Teladoc HEALTH TV Pro 300」を通じて、妊婦さんへの遠隔診療を行いました。加えて、現場には超音波診断装置に精通した助産師が派遣され、臨床検査技師と連携しつつ検診を実施しました。
結果および評価
実験では2名の妊婦さんを対象に検証が行われました。超音波診断装置から送られる画像はリアルタイムで品質が高く、遠隔地の専門医による確認が可能でした。
さらに、アノテーション機能を用いて、胎児の発育評価を共有することもスムーズに行われました。参加した妊婦さんからは移動の手間が省け、遠隔医師の顔を見ることによる安心感が高く評価されました。
医療従事者からの声
小樽協会病院の産婦人科長、黒田敬史先生は「この取り組みは、限られた地域で妊婦さんが安心して診療を受けられる環境を整えるために重要だ」と強調し、医療資源の活用による質の高い医療の提供が期待されていると述べています。
また、岩内協会病院の院長、横山和之先生も「遠隔妊婦検診の実現は、妊婦さんやその家族の負担を大幅に軽減する効果がある」と、今回の取り組みの重要性について語りました。
将来への展望
ウィーメックスは「Teladoc HEALTH」を通じて、地域医療の格差を解消し、誰もが安心して暮らせる環境作りに貢献していく方針です。リアルタイム遠隔医療システムは、今後の医療現場での活用が期待されています。
まとめ
今回の実証実験は、医療の質向上と妊婦さんの負担の軽減を目指す重要な一歩となりました。この取り組みの成果が広がり、さらなる医療の進歩に繋がることが期待されます。