福井県坂井市が自動運転「イータクプラス」を開始
福井県坂井市では、地域交通の未来を見据えた自動運転事業「イータクプラス」が2025年にスタートすることが発表されました。この取り組みは、高齢者を中心とした市民の日常生活を支える新たな移動手段として、公共交通の利便性を高めることを目的としています。
「イータクプラス」とは?
「イータクプラス」は、坂井市が実施する自動運転の実証事業で、主にデイリーニーズに応じた移動を提供します。坂井市長は、7月24日に行われた記者会見でこの新しい取り組みの意義と背景について説明しました。これにより、月間約3,000人利用されている「イータク(オンデマンド型交通)」を更に進化させ、地域住民にとって価値のあるサービスを提供することを目指しています。
現在の交通サービスの課題
坂井市では、今年の1月から「イータク」の運行を開始し、主に高齢者の通院や買い物などの近距離移動をサポートしてきました。利用者数の急増に伴い、予約難や運転手不足の問題が浮上しています。市は、これらの課題を解決するために、自動運転技術を取り入れることに決めました。自動運転車両を用いることで、運行の効率化とサービスの向上が期待されています。
実証事業の概要
この実証事業では、坂井市役所から春江病院までの約2.5kmを運行します。使用する車両は、トヨタの「シエナ」をベースとしたミニバンで、自動運転レベル2に対する取り組みを行います。月曜日から土曜日まで、午前8時から午後4時までの間、事前予約制によりサービスを提供します。具体的には、7か所の停留所を設け、運行の柔軟性を高めています。
期待される成果
「イータクプラス」の導入により、運転士不足問題の検証や需要の変化に対応した増車課題、潜在的な移動需要の把握が期待されています。坂井市は、この事業を通じて、公共交通の新たなモデルケースを構築し、他地域への展開も視野に入れています。
今後の展望と地域への影響
本プロジェクトは、国の補助金を受けて進行し、将来的には2027年度に自動運転レベル4の実現を目指します。坂井市が進めるこの取り組みは、単なる交通サービスの提供に留まらず、地域の交通環境全体を見直す契機となるでしょう。他の地域にとっても模範となる「坂井市モデル」を確立し、地域社会の交通施策に貢献することが期待されています。市民にとっての移動の利便性を向上させるこのプロジェクトは、地域全体の活性化にもつながるでしょう。