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日本ゼオンが台湾SiAT社に投資

日本ゼオン株式会社（東京都千代田区、社長：豊嶋 哲也）は、次世代のリチウムイオン電池向けに特化した導電ペーストの開発を行う台湾のスタートアップ、Sino Applied Technology Co., Ltd.（以下、SiAT社）への投資を発表しました。この投資は、2025年5月に結ばれた基本合意に基づくもので、ゼオンはSiAT社が進めるSWCNT（単層カーボンナノチューブ）を利用した導電ペーストの生産能力拡大を支援し、共にマーケティング活動を実施していきます。

投資内容の詳細

ゼオンは、SiAT社の総額2,200万米ドル規模のシリーズC資金調達ラウンドを主導し、8月に契約を締結しました。さらに、ゼオンはSiAT社に取締役を1名派遣することで、導電ペーストの生産及び販売における拡大を支援する予定です。具体的には、SiAT社が2030年までに7420トンから25,000トンへの生産能力を向上させることを目指します。

この取り組みによって、両社は導電ペーストの販売においても連携し、さらなる市場拡大を図る計画です。SWCNTを用いた導電ペーストは、従来のカーボンブラックや多層カーボンナノチューブと異なり、優れた電気伝導性と機械的強度を持ち、化学的安定性にも優れています。

SWCNTの重要性

近年、SWCNTはリチウムイオン電池のエネルギー密度やサイクル寿命を向上させる材料として注目されています。電気自動車やドローン、そしてeVTOL航空機などの民生市場における用途が増加する一方で、AIサーバーのバックアップユニット（BBU）や再生可能エネルギーシステム（ESS）、自動化ロボティクスなどの産業用途にも幅広く需要が高まっています。このような背景から、SWCNTは市場での更なる可能性を秘めた重要な素材となっています。

ゼオンは2015年に、世界で初めて独自のスーパーグロース技術を用いてSWCNTの量産を成功させ、その製品を「ZEONANO®」ブランドで展開しています。一方、SiAT社は20年以上にわたる電池用ナノ材料開発の実績を持ち、SWCNTを均一に分散させる技術で安定した導電ペーストを実現しています。SiAT社の導電ペーストは多くの電池メーカーからの高い評価を得ており、そのエネルギー出力とサイクル寿命の向上が確認されています。

日本国内での展開

ゼオンは今後、SiAT社のメインサプライヤーとして、日本国内でのSWCNT粉体の生産を拡大する計画を持ち、CNT（カーボンナノチューブ）事業の市場開拓をさらに進める予定です。これにより、次世代リチウムイオン電池市場においても確固たる地位を築くことが期待されています。

この新たな取り組みにより、ゼオンとSiAT社は一緒に電池技術の革新を進め、持続可能な未来に向けた取り組みを強化していくことになるでしょう。

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