寄り添い型音声対話AIが孤独感の解消を目指す
ロート製薬株式会社と株式会社PKSHA Technologyが共同で、孤独感や孤立感の解消を支援する「寄り添い型音声対話AI」を開発しました。このプロトタイプは、特に孤独を感じやすい子どもや高齢者を対象に、心理的なサポートを提供します。
開発背景
ロート製薬は、健康を通じて人々のウェルビーイングを促進することを企業のパーパスとしています。近年、日本では子どもが孤独を感じる割合が高く、超高齢社会においても高齢者の孤立感が問題視されています。こうした課題を受けて、孤独感を解消するための具体的な法整備も進められており、特に今後の対策が求められています。
PKSHA Technologyは、AI技術を駆使して人に寄り添うソフトウェアの開発を目指しており、その知見を基に寄り添い型音声対話AIの研究開発に取り組みました。これは、社会課題の解決に貢献することを目的としています。
寄り添い型音声対話AIの特長
このAIは、ユーザーの言葉に対して音声で自然な応答を返すことができます。対話の形式としては、ユーザーの質問に対して即座に返答するのではなく、話の内容を理解し、傾聴することに特化しています。特に、心配を煽る表現を排除し、自然な会話速度を実現しています。
このような対話スタイルにより、利用者は自身の内面的な気づきを得やすくなります。また、相談モードやおしゃべりモードなど多様な機能を備えており、気軽に悩みを話したり、興味のあることについて会話することができます。これにより、心理的な影響がポジティブになることが期待されています。
実証結果
具体的な社会実装に向けて、何らかの理由で学校に行けない子どもたちを対象とした実証実験を行った結果、アンケート調査では参加者の33%が「とても楽しかった」、66%が「楽しかった」と回答しました。特に、「人間と話しているように感じた」「普段語れないことが話せた」といった感想が多数寄せられ、AIとの対話が心の負担を軽減したことが確認されました。
さらなるパートナーシップの募集
このプロジェクトは治療目的ではなく、孤独感を軽減するための支援を目的としています。今後は、子どもや若者、高齢者にとどまらず、AIを活用した幅広いユースケースの探求を行い、企業や行政とのパートナーシップを募る意向があります。最新の実証結果を反映しながら、プライバシーやセキュリティに配慮しつつ、AIが果たすべき新たな役割を模索していく計画です。
さいごに
日本が直面する孤独感や孤立感の課題に対する取り組みとして、寄り添い型音声対話AIの実用化が期待されています。ウェルビーイングの向上に向けた試みを進め、テクノロジーがより豊かな社会の実現に貢献することを目指していきます。