中小企業は大企業に比べ、資金や人材の面で不利な状況がありますが、柔軟な判断と専門性を活かせる点では強みがあります。この観点で、三重県伊賀市に位置する株式会社ナベルの代表取締役社長・永井規夫氏は、彼の最新書籍『創造性を励起する! -小さな尖る会社がこだわる事業承継道』を通じて、事業承継の意義と中小企業の未来を描いています。
地元から世界へ
ナベルは産業用機械や装置向けの蛇腹(じゃばら)メーカーとして、地域に根ざしつつ世界に展開しています。2022年に創業50周年を迎える際、永井氏は次の50年に向けての成長戦略を模索しました。その中で事業の本質を「機能的なカバー」と位置づけ、自社製品を通じて顧客のニーズを満たすことを再確認しました。しかし、これは単なるスタート地点に過ぎません。
事業承継がもたらす成長の可能性
永井氏は、本書でバブル崩壊以降の日本経済の厳しさや少子高齢化に触れながら、中小企業が生き残るためには創造性が不可欠であると強調しています。新たなニーズを捉え、新製品を開発することは簡単ではありませんが、企業の競争力を再生するためには、付加価値を生む戦略が求められます。本書では、そうした創造性を育むための具体的な手法が紹介されています。
中小企業が知るべき5つの章
本書は、以下の章立てで構成されており、読者に中小企業が直面する現状や創造性の重要性を深く理解させるものになっています。
1. わが国の現状を分析する
2. 中小企業に創造性が必要なわけ
3. 中小企業の創造性のとらえ方
4. ナベルの創造性への取り組み
5. クリエイターになろう
読者は、これらの章を通じて自分のビジネスにも応用できるヒントを得ることができるでしょう。永井氏は、これまでの経験を基に、企業がどのようにして新たな成長軌道に乗ることができるかを切り開きたいと願っています。
書籍の詳細情報
この書籍は定価1,650円(本体1,500円+税10%)で、192ページの内容となります。日刊工業新聞社から2025年2月26日発売予定です。ISBNは978-4-526-08375-4です。
著者はどんな人物?
永井規夫氏は、大阪府出身で、会社設立後の多岐にわたる職務や業績から、中小企業の経営者としても多くの経験を積んできました。特に海外進出や特許取得、地域振興などに取り組み、持続可能な企業経営についても深い洞察を持っています。
最後に
この書籍を通じて、中小企業が持つ潜在能力や創造性の重要性に気づかされ、新たな挑戦が促されるでしょう。小さな会社がこだわりを持って事業を承継し、地域と共に発展していくための道筋が見える一冊です。