Adyenが2025年に向けた小売業務の未来を探る
Adyenは、多くの大手企業に選ばれるフィンテックプラットフォームとして、顧客の決済体験や企業のテクノロジー投資についての年次調査「リテールレポート2025」を発表しました。この調査は、変化する規制や決済手法、関連技術、新たなビジネスモデルなどに関する小売企業の現状と方向性を示しています。対象は世界28か国・地域の消費者41,089人、さらに小売企業14,003社で、日本からはそれぞれ2,000人と300社が参加しています。
日本におけるAI活用の動向
調査結果によると、日本の消費者が買い物時にAIを活用している割合は全体の12%と、前年より4ポイント増加しました。この中で35%の消費者が今後もAI活用に対し前向きな意向を示していますが、グローバル平均の37%に対しては25ポイントの差があり、AIの価値が十分に伝わっていない可能性があります。
特に、AIを使っている12%の消費者のうち34%が「小売業者が興味のある商品を提案している」と感じ、34%はAIから商品のアドバイスを受けていると認識しています。また、35%が「ユニークなブランドを発見したい」と回答しており、AI技術は消費者とブランドの新たな接点を生み出す機会を提供しています。
世代別AI活用の拡大
特に注目すべきなのは、世代別のAI活用の増加です。X世代(44~59歳)では59%、Z世代(16~27歳)では42%もの増加が見られました。特にZ世代は、買い物にAIを活用する率が27%と他の世代を上回ります。これに対し、ミレニアル世代(28~43歳)は13%にとどまりました。
Adyenの最高商務責任者ルーラント・プリンスは、「消費者はAIによる買い物体験の変化を感じ取り、急速にAIを受け入れています」と述べています。この変化は、消費者にとってAIがパーソナルスタイリストとなり、個々の好みに合わせた提案を行う時代が近づいていることを示唆しています。
日本小売業者のAI導入動向
調査では、日本の小売企業が2025年の成長戦略として「AIやテクノロジーの導入」を重視しています。具体的には、24%の企業がAIを活用した販売やマーケティングへの投資を検討しており、同数が商品開発へのAI活用に前向きです。しかし、グローバルと比較すると、日本の企業のAIに対する投資意欲は低めです。
特に、日本の小売業者によるオンラインと対面決済の統合は全体で28%に過ぎません。「今後12ヶ月以内にこの機能を導入予定」と答えたビジネスリーダーはわずか13%で、店舗限定の特別体験を提供すると回答した企業も11%にとどまっています。
Adyenの小売部門のバイスプレジデント、ホリー・ワーストは、「AIは消費者と小売業者の双方にとって必要不可欠な存在です。今年初めにリリースしたAI搭載の決済最適化スイート『Adyen Uplift』は、顧客体験を向上させるための重要なツールです。」と述べています。
統合型コマースの必要性
調査の結果、日本の消費者の21%がSNSやアプリ、オンラインストアなどの複数のチャネルを通じて一貫した買い物体験を期待していることが明らかとなりました。一方で、約47%の消費者は実店舗での購入を好む傾向にあり、オンラインショッピングを選ぶ人は21%にとどまります。実店舗を選ぶ理由は、「実際の商品を見たい」(44%)や「試着したい」(25%)など、即時性が求められています。
このように、AIを含むテクノロジーの進化が求められている一方で、日本では多くの消費者が依然として実店舗での体験を重視しています。このことから、日本市場での統合型コマースの手法は、これからも重要な要素となるでしょう。
調査概要
- 調査期間:2025年2月26日〜2025年3月12日
- 対象者:28カ国・地域の41,089人(16歳以上)
- 調査期間:2025年2月10日〜2025年3月12日
- 対象者:28カ国・地域の14,003の小売企業
今後の小売ビジネスにおいて、AI技術の効果的な活用は、生き残りの鍵となるでしょう。