ゲルベ社と九州大学病院、AIソフト「DUOnco(TM) Pancreas」の共同研究が始まる

新たなAI技術による膵臓がんの早期発見

2025年4月9日、フランスを拠点とする医療画像ソリューションのリーダーであるゲルベ社は、九州大学病院との間で新たな臨床共同研究を開始することを発表しました。このプロジェクトでは、革新的な人工知能（AI）ソフトウェア「DUOnco(TM) Pancreas」の性能評価が行われます。このソフトウェアは、膵臓病変の偶発的な検出を助けることを目的としており、実際に膵臓がんの早期発見に寄与する可能性が期待されています。

膵臓がんの実態とAIの必要性

2022年のデータによれば、世界中で新たに報告された膵臓がんの症例は510,992件に上り、日本国内だけでも47,627件が記録されています。驚くべきことに、膵臓がんによる死亡者数は同年だけで43,265人に及び、生存率はわずか9%という残念な状況です。さらに、日本は膵臓がんの発生率と死亡率が世界的に見ても非常に高い国の一つとなっています。このような背景から、膵臓がんの早期発見に向けた技術開発は急務と言えるでしょう。

DUOnco(TM) Pancreasとは

「DUOnco(TM) Pancreas」は、造影CT検査の画像において、放射線科医が偶発的に発見された膵臓がんの兆候を検出するのを支援するAI画像解析ソフトウェアです。九州大学病院は、高い専門知識を持つ医療機関であり、この性能評価を行う重要な役割を担っています。特に、対象となる症例は日本人であり、早期の膵臓がん症例も多く含まれる予定です。

研究を統括する九州大学病院の石神教授は、今回の共同研究の意義を強調しました。彼は、「膵癌のCT診断は、特化した多相性の動的スタディが必要ですが、膵病変の偶発的発見が重要です。これにより、他の目的で行われる造影CT検査でも、早期に膵癌を見つけることができる可能性があります」と述べています。

共同研究の意義と未来

ゲルベ社のフランソワ・ニコラ氏は、「世界的に著名な医学研究機関である九州大学病院との協力は非常に意義深い。DUOnco(TM) Pancreasの評価を通じて、膵臓病変の早期発見を進展させられることを期待しています」とコメントしています。膵臓がんに関する研究は進展を見せており、九州大学病院ではこれまでに多くの成果を上げてきました。例えば、膵臓がん検出に特化した造影CTプロトコルの開発や、国際的なガイドラインに基づく膵臓病変の分類に関与しています。

ゲルベ社は、AIを利用した診断ソリューションの開発に力を入れており、最近では「DUOnco(TM) Bones」のCEマーク取得や、DUOnco(TM) Pancreasの米国FDAでの「Breakthrough Device」指定など、注目を集めています。これらの動きは、膵臓がんの早期発見に寄与する可能性を秘めています。