チェーホフの魅力を新たに感じる『チェーホフを待ちながら』インタビュー

チェーホフの新しい一面を探る

2025年11月からまつもと市民芸術館で上演される『チェーホフを待ちながら』は、劇団「MONO」の代表である土田英生が手掛けた新しい作品です。この舞台は、ロシアの劇作家アントン・チェーホフの一幕喜劇「ヴォードビル」を大胆に再構築したもので、土田と山内圭哉がその魅力を語ってくれました。

チェーホフの喜劇性

土田は、チェーホフの作品が多くの人に愛され続ける理由は、日本でも知られている『三姉妹』や『かもめ』といったシリアスな作品だけでなく、隠れた喜劇的要素にあると語ります。「チェーホフは喜劇だ」という意見に納得できなかった土田が、一幕喜劇の原作を読み解くうちに、彼の視点が変わったそうです。「最初に喜劇としての側面を感じ取り、それをもっと引き出したいと思って取り組みました」との思いが作品に反映されています。

親しみやすい現代劇

本作は、従来のチェーホフ作品に対する先入観を払拭するような内容で、より現代的で観やすい作品に仕上がっています。土田は、原作の構造を尊重しつつも、自身の感覚を失わないように工夫を凝らしたとのこと。「喜劇性が強調されていて、観客が気軽に楽しめる舞台となれば嬉しい」と話します。

山内にとっても、この作品のポップな要素は新たな魅力であり、身構えずに楽しめるポイントだと感じているようです。「台詞が多く、打ち合わせなしで進む面白さを大切にしたいと思っています」と語ります。

チームプレイの重要性

土田と山内は今作での共演を通じて、チームプレイの重要性にも言及しました。実際、作品には多くのキャラクターが登場し、それぞれの個性を引き出す必要があります。土田は、共演者のトーンを揃え、なおかつユニークな音を取り入れた演出を考えているそうです。「音を使って、より動的な舞台にしたい」との意気込みを示しています。

松本での稽古と公演への期待

松本の印象について、二人は非常に良い反応を示しました。文化芸術的な環境と上品な街並みが、創作活動に集中できる場を提供しているとのこと。土田はクラフトフェアや松本城など、地域の魅力を紹介しながら、楽しみな稽古期間を過ごす意気込みを明かしました。

山内は「松本には美味しい食べ物やお酒がたくさんあるので、稽古の合間に楽しむこともできそう」と話し、期待感を寄せました。