ライカ第6回「Leica Women Foto Project Award」受賞者が示す多様性の力
2023年3月8日、国際女性デーを祝う形で発表された第6回「Leica Women Foto Project Award」。そのテーマは「Unity Through Diversity(多様性を通じた協調)」です。この賞は、社会的分断の中でつながりを持つことが重要であるとのメッセージを持ち、女性視点のフォトエッセイを通じてその意義を探求しています。
今年の受賞者には、アメリカのプライヤ・スレシュ・カンブリ、カナダのジェニファー・オズボーン、メキシコのコラル・カルバロ、イギリスのアナ・ノイバウアーが選ばれました。実力派のフォトジャーナリストや著名な寄稿者で構成された審査員から、彼女たちの作品が高く評価されたことは明白です。受賞者は、ライカSL3カメラ、バリオ・エルマリートSLレンズ、さらには1万ドルの賞金を獲得しました。
ライカは、次回の第7回「Leica Women Foto Project Award 2026」をドイツ・ウェッツラーで開催予定であり、毎年秋に行われる国際写真コンテスト「ライカ・オスカー・バルナックアワード」に統合する予定です。このような取り組みは、写真界で新しい才能を可視化し、支援する重要な役割を果たします。
受賞者紹介と作品
プライヤ・スレシュ・カンブリ(アメリカ)
プライヤの作品「Archive as Companion」は、移住者としての彼女自身の体験を探求しています。アルカジ財団が展示したインド特有のスタジオ写真から影響を受け、家族のアーカイブを用いてアイデンティティや帰属感を表現しています。彼女は20年以上の創作活動を通じて、祖先のルーツと帰化した国との結びつきを強調しています。
ジェニファー・オズボーン(カナダ)
オズボーンの連作「Fairy Creek」は、バンクーバー島の原生林保護に関する抗議活動の現場を捉えています。彼女は、抗議者たちの生活や勇気を映し出し、環境保護の深い意義を伝えています。警察の差し止め命令執行前後の生々しい瞬間が記録されており、彼女の写真は強いメッセージを持ちます。
コラル・カルバロ(メキシコ)
「Blood Summons」という作品は、家族のトラウマに触れたフォトエッセイです。カルバロは、自分のルーツに対する欲求をテーマにしながら、アイデンティティの追求を行い、見る者に関係の修復を促します。このプライベートな旅は、より広い社会的問いかけにもつながります。
アナ・ノイバウアー(イギリス)
彼女のドキュメンタリー・プロジェクト「Ashes from Stone」は、社会的通念を覆す美しさや強さを描き、多様性を称賛する作品です。ノイバウアーは、ポートレートを通じてエンパワーされた状況や伝統的な見方への挑戦を促しています。彼女の作品は、見る者に共感を呼びかけるだけでなく、多様性への理解も深めるものです。
ライカの使命と今後の展開
ライカは、女性のエンパワーメントと多様性の重要性を視覚的に捉えたこの賞を通じて、コミュニティの多様化への道を示しています。毎年大勢の応募者が集まり、その作品がコミュニティに新たな刺激をもたらしていることを、ライカのアートディレクターであるカリン・レーン=カウフマンは強調しています。
このようにして、「Leica Women Foto Project Award」は、単なる写真コンテストにとどまらず、社会的な問いかけを促進する場となっています。視覚的なナラティブの範囲を広げることが、このプロジェクトの本質であり、ライカが目指す未来の姿でもあります。
ライカの100周年を記念する2025年のセレブレーションに向けて、まさにその勢いを増しつつあるこのプロジェクトは、今後も世界中のクリエイターに新たな可能性を提供し続けるでしょう。