外国人受入れ制度を巡る新たな要望
6月17日、鈴木馨祐法務大臣を訪問した生団連の浜田晋吾会長代行は、外国人の受入れに特化した委員会の議論の結果として「育成就労制度の実効性強化に向けた要望書」を手交しました。この要望書には、就労環境や運用基準の改善が求められており、今後の外国人受入れ政策に大きな影響を与えることが期待されています。
生団連の取り組み
生団連は、2018年から「外国人の受入れに関する委員会」を設置し、「生活者」としての外国人受入れ体制の構築に向けた活動を進めています。具体的には、外国人の子どもの教育体制の整備や就労環境の改善、基本指針の策定を通じて、外国人が日本で生活しやすい環境を目指しています。
浜田会長代行は、鈴木大臣に対し、これまでの活動と要望書の内容を丁寧に説明しました。要望書の中では、生活オリエンテーション講習の標準化や入国後講習の内容充実、さらには適切な日本語教育機関への支援強化が求められています。
鈴木大臣は、外国人受入れの重要性を認識し「人口減少を踏まえ、育成就労制度を通じた外国人の受入れは必要である」と述べました。そして、社会全体での共生の体制整備が求められていることを強調しました。
要望書の主要ポイント
要望書の中身は大きく二つの柱に分かれています。第一は就労環境の整備で、具体的には以下の要素が挙げられています。
1.
生活オリエンテーション講習の内容標準化と拡充
外国人がスムーズに日本に適応できるよう、標準化された内容の講習が充実します。
2.
入国後講習の内容標準化と修了認定基準の導入
入国者が一定の基準に達していることを確認する仕組みが設けられます。
3.
総合的な仕組みの制度化
生活適応能力と日本語能力を測るための評価基準が導入されます。
4.
認定日本語教育機関への支援強化
日本での生活に必要な日本語の習得を支援。
5.
技能検定試験の結果公開義務化
効率的なスキル評価を実施します。
6.
中小企業や市民団体への支援強化
外国人雇用を希望する中小企業へのサポートが拡大されます。
第二は運用基準の改善についてです。具体的には、求人情報の適正化と監理支援機関の許可条件強化、送出し国との連携の明確化が求められています。
生団連の役割
生団連は「国民の生活・生命を守る」というミッションのもと、700以上の企業や団体が結束した団体です。単なる業界団体ではなく、教育や外国人受入れ、ジェンダー問題など、幅広い国民的課題に取り組む「国民団体」としての役割を果たしています。今回の要望活動も、その一環として位置づけられています。
まとめ
生団連の活動と鈴木法務大臣とのやり取りは、外国人受入れ政策の今後を大きく左右するものとなるでしょう。より多様な人々が共生できる日本社会の実現に向けて、今後の進展が期待されます。情報共有を重視する生団連の姿勢は、地域社会との連携にもつながり、実効性のある制度実現のために重要な役割を果たします。