株式会社ジェーシービー(JCB)とマネーフォワードエックスは、法人顧客向けの新たな事業共創に向け、基本合意契約を締結しました。この協力により、両社は中小企業や個人事業主の資金管理とキャッシュフローの改善を図ることを目的としたサービス『Cashmap』の開発を進める計画です。
法人向けの新たなサービスが必要とされている背景には、2024年に休業や廃業、解散が行われた企業の数が過去最多となったというデータがあります。特に、直前期の決算で黒字だったにも関わらず、損益悪化により経営が困難な状況に立たされる企業が増加しています。中小企業が直面する様々な課題、例えば人手不足や原材料費の高騰などは、財務や資金繰りの改善にまで手が回らなくなる要因となっています。
JCBは、法人向けのクレジットカードや『請求書カード払い』など、企業運営を支援する様々なサービスを提供しています。さらに、2024年には個人事業主向けの『Biz ONE』を新たにリリースし、幅広い顧客層を築いています。一方、マネーフォワードエックスも中小企業向けの業務DXサービス『Mikatano』や、融資手続きがオンラインでできる法人向けサービスを展開し、全国の金融機関を通じて多くの企業に支持されています。
今回の合意は、両社が一丸となって持つノウハウと全国の金融機関とのネットワークを活用し、中小企業の課題に対して効果的な解決策を提供するために至りました。具体的には、それぞれの提携先の金融機関に向けて法人向けサービスの導入提案を進めるとしています。
『Cashmap』は、複数の金融機関の口座やクレジットカード情報を一元的に管理するサービスです。これにより、入出金予定の管理やキャッシュフロー改善をシンプルに行えるようになり、経営者にとっての心理的負担を軽減します。また、このサービスはJCB法人カードや『Biz ONE』利用者にとって無料で提供されるほか、今後も機能の拡張が計画されています。2025年中にはオンラインレンディングやファクタリングサービスも追加される予定です。
さらに、マネーフォワードエックスは『ともに、金融をすべての人のそばに。』というミッションのもと、アカウントアグリゲーション技術を駆使した様々な金融機関向けサービスを開発し続けています。法人顧客に向けたサービスでは、オンラインで融資手続きを行える『Mikatano融資ポータル』の提供も進めています。2025年春には、金融機関と法人顧客間の手続きをオンラインで行える新サービスも開始予定で、今後は『Cashmap』とこれらの提供サービスを融合させ、よりシームレスな金融サービスを目指しています。
JCBおよびマネーフォワードエックスの協力は、経済環境が厳しい今こそ必要とされています。両社は、法人顧客のニーズに応じたサービスを提供し、中小企業や個人事業主の経営課題に真摯に向き合っていく方針です。金融界の未来を切り拓くこの動きは、他の企業にも波及していくかもしれません。