カケハシが生成AIを利用した革新的な薬歴作成のプロトタイプ開発を始めました。この新技術は、患者に提供された服薬指導の情報を自動的にSOAP形式に整理し、薬学管理における重要なポイントを効果的に捉えた薬歴を効率的に生成することを目指しています。開発された機能は、現場の実運用において安全性と利便性を確認するために、2024年秋にプロトタイプ試験を行い、2025年春には正式にMusubiに実装する計画です。
カケハシは、初期からテクノロジーを活用した製品開発に取り組んできた企業です。特にAI技術に関しては、機械学習エンジニアやデータサイエンティストなどが10人以上在籍し、医療におけるAI活用を推進するための体制を整えています。2021年には、AIによる高度な来局予測を基にした半自動発注システム「Musubi AI在庫管理」を導入し、在庫コストの削減や欠品の減少による定量的な成果を実現しました。
これまで在庫管理の分野で培ってきたAIのノウハウを、今後は薬局での調剤業務にも展開していく予定です。その第一歩として、生成AIを用いた薬歴作成機能の開発をスタートさせることとなりました。カケハシは、「薬歴作成」の作業を効率化するための運用知識と、AI技術の専門知識を統合し、安全で利便性の高いサービスの提供を目指します。これにより、医療現場における対人業務の効率化を図り、より良い日本の医療体験の実現に向けた取り組みを進めます。
カケハシのプロトタイプ開発は、今後全てのサービスでAI技術の導入を考慮しながら展開されます。特に、患者が抱える問題に即したAIサポートの強化を目指しています。これは、単に薬歴を効率的に作成するだけに留まらず、患者の履歴や医療提供の流れを考慮した包括的なサポートを提供するものです。処方受付から調剤設計、服薬指導まで、薬局の業務プロセスに沿った流れを持つAIサポートの構築を通じて、現場での実用性を追求します。
また、生成AIはその利便性の反面、安全性や倫理的問題、個人情報保護の面で課題も抱えています。カケハシは医療の一端を担うものとして、これらの問題に対する責任を感じており、AI事業者としてのガイドラインに準拠しつつ、患者に寄り添った形での開発を行っていきます。このようにして薬局業務全般のサポートを実施し、薬剤師が専門性を発揮できる環境を整え、患者本位の医療を実現することを目指しています。
この新しい薬局体験アシスタントMusubiは、患者と薬剤師の体験を向上させる次世代業務支援サービスです。タブレットを用いて患者と共に服薬指導を行い、その際に自動で薬歴のドラフトを作成します。加えて、患者の健康状態や生活習慣に応じたアドバイスも行うことで、これまでにない付加価値を提供しています。2017年8月からスタートし、現在では47都道府県で導入が拡大しているこのサービスは、業務の効率化と患者への価値提供の両立を実現しています。
カケハシは、医療システムの再構築を目指すヘルステック企業です。テクノロジーを活用し、より良い医療を持続可能な形で実現するための取り組みを続けています。薬局体験アシスタント「Musubi」をはじめとする複数のプロダクトを開発し、国内の薬局を1万店以上サポートしているカケハシの未来に期待が高まります。