猛暑日対策のパートナー『フィールド冷却細霧システム』
地球温暖化が進む今、夏のスポーツ環境における暑さ対策は急務です。日本体育施設株式会社(東京都中野区)は、猛暑日でもアスリートが安全に競技できる環境を提供するために、微細なミストで地面を冷やす『フィールド冷却細霧システム』を開発しました。
このシステムは2021年に環境省のETV(環境技術実証)事業に選ばれ、温度低下効果が実証されています。さらに、2024年8月には法政大学の研究チームによる実証試験が行われ、運動中の生理的応答への効果が確認されました。
暑熱の危険性とその対策
夏場のスポーツ活動には、熱中症の危険が常に伴います。高温多湿の環境では、体温が上昇しやすく、深部体温が40℃以上に達することは深刻な危険を引き起こします。これは脳や内臓に障害を与え、最悪の場合命に関わることがあります。
そのため、アスリートやコーチは、常に適切な環境を確保することが求められています。
冷却ミストの効果とは?
『フィールド冷却細霧システム』は、ミストによって気温を最大20℃下げることができる装置です。これにより、グラウンドが直接濡れにくく、競技への影響を最小限に抑えることができます。サッカー場1面あたり毎分40~45ℓの水量で運営できるため、コスト面でも優れた選択肢です。
「Anker フロンタウン生田」や他のスポーツ施設にも導入され、選手のパフォーマンス向上に寄与し、実際に観察されたWBGT値が低いことで、選手たちが集中して練習に取り組むことができています。
目立った成果としては、2024年夏に行われた「日本クラブユース選手権」での川崎フロンターレのU-15生田チームの優勝があります。監督の久野智昭氏も、このミストシステムの導入が練習効率に大きく寄与したと語っています。
研究成果の公表
法政大学の井上准教授らのチームは、炎熱環境下での異なるグラウンド条件が選手に与える生理的影響を調査しました。その結果、ミストが散布されているグラウンドでの運動は、身体の深部体温や心拍数が低くなり、より安全に競技ができることが明らかになりました。この成果は2025年に発表される予定です。
日本体育施設の使命
日本体育施設株式会社は1971年に設立されて以来、国内外のスポーツ施設を対象とした施工や運営を行い続けています。今回の『フィールド冷却細霧システム』の開発は、技術革新が進むなかで、スポーツ界に貢献する新たな取り組みの一つです。
「もう一歩先のフィールドへ人と技術で未来を“健”設する」が企業のビジョンとして掲げられています。今後も、環境保護と競技効率の両立を目指し、新たな課題に挑戦し続けることでしょう。
このように、環境対策としてのミストの活用が進むことで、暑い夏の日でも選手たちが安全に競技を続けられる未来が見えてきます。日本体育施設の取り組みは、これからのスポーツ界に希望をもたらすことに違いありません。