地元の伝統と科学が織りなす健康の新しい形
長野県松本市では、健康をテーマにした革新的な取り組みが進行中です。「細菌叢で人々を健康に」という理念のもと、株式会社サイキンソーが伝統的な味噌玉造りを守り続ける老舗の味噌蔵、株式会社萬年屋と連携しています。このプロジェクトは、味噌が腸内フローラに与える影響を科学的に検証し、地域の健康維持に寄与することを目的としています。
伝統の味噌玉造り
萬年屋は1832年に創業した老舗で、江戸時代から続く味噌玉造りの技術を大切にしています。この製法は、常在菌を大豆に取り入れて発酵させる独自の手法で、松本の風土で育まれた多様な菌が味噌の風味を際立たせます。通常の味噌にはない、腸に嬉しい「酪酸菌」を豊富に含むのが特徴です。
健康効果の検証
サイキンソーは、萬年屋の味噌を日常的に食べている人々の腸内状況を調査しました。約10名の参加者を対象に腸内フローラの検査を行い、結果を健康な成人2664名の菌組成データと比較しました。その結果、萬年屋の味噌を日常的に摂取することで、腸内フローラが改善される傾向があることが示されました。
特に、エクオール産生菌の割合が際立っており、これは大豆イソフラボンを豊富に含む味噌の栄養が影響していると考えられます。驚くべきことに、参加者のうち9人はエクオール産生菌を保有していたのです。一般的には、エクオール産生菌は2人に1人が保有するとされるため、日常的に萬年屋の味噌を食べることが強い関連があるといえるでしょう。
今後の展望と地域との連携
このプロジェクトは「松本市ヘルスケアサービス等実用化検証事業助成金」のもとで実施されており、取り組みは3年間にわたって続けられます。今後は、味噌を日常的に摂取していない人々においても、味噌がどのように腸内環境に影響を与えるのかを調査する計画です。
サイキンソーは、地域の健康を支える一環として、萬年屋の味噌の魅力を発信し、伝統食品がもたらす健康効果を広めていきます。最終的には、誰もが自然に健康になれる社会、「0次予防」の実現に向けた取り組みとなることでしょう。
会社概要
- - 社名: 株式会社サイキンソー
- - 設立: 2014年11月19日
- - 本社所在地: 東京都渋谷区代々木1-36-1 オダカビル2階
- - 代表取締役: 沢井 悠
- - 共同研究先: 大阪大学微生物病研究所
- - 公式サイト
このように、伝統的な味噌造りを科学と融合させる試みは、地域の文化を守りながら健康を促進する新たなモデルケースとなるでしょう。