吉本ばななの新たな一歩、短編集『ヨシモトオノ』の魅力
吉本ばななが贈る最新短編集『ヨシモトオノ』が、2025年5月23日に株式会社文藝春秋から刊行されることが決定しました。この作品は、彼女の独特の視点から描かれた怪談のような、しかし温かみのある物語を収めた一冊です。
物語の背景
本作は、民俗学者 柳田國男の名作『遠野物語』を現代風にアレンジした内容となっており、日常生活の中でふと顔を出す不思議な瞬間や、死と生の狭間に漂うような心の光を表現しています。その中には、吉本氏自身の経験に基づいたエピソードも多く含まれており、彼女の独自な感受性が垣間見えます。
物語の内容
『ヨシモトオノ』には、心に小さな光を灯すような13の短篇が収められています。たとえば、「思い出の妙」では、主人公が天井の木目に見つけた小さな顔について語ります。この物語は、何気ない日常の中に潜む不思議さを感じさせ、読者に思わず考えさせる要素を持っています。
また、「光」では、作者の幼少期の実体験を語る一編が登場します。文章は少しぎこちないものの、これが若かった頃の真実の瞬間であることを強調しています。このように、作品の中には個人的でありながら普遍的なテーマが散りばめられています。
「炎」という作品では、誰もがこの世から完全に消えてしまうことはないと語られます。その何かが残ることで、時空を超える小さな救いが存在することを伝え、心に響く言葉となっています。
装画の魅力
装画は、吉本ばななが敬愛する映画監督ダリオ・アルジェントの研究者である矢澤利弘氏によるものです。彼の描く気味悪くも美しい絵は、吉本氏を震えさせ、「この人の絵しかない!」と確信させたほど。その印象は、作品全体の雰囲気を引き立てる一役を担っています。
収録作品一覧
本書には、以下の13篇が収められています。
1. だまされすくわれ
2. 引き出し
3. 唐揚げ
4. 渦
5. 幽霊
6. 光
7. みだしなみ
8. 炎
9. 花
10. わらしどうし
11. 楽園
12. 最良の事故物件
13. 思い出の妙
作家プロフィール
吉本ばなな(1964年生まれ)は、日本大学藝術学部を卒業後、1987年に『キッチン』でデビューしました。その後数多くの賞を受賞し、特に『ムーンライト・シャドウ』や『TUGUMI』などの著作は多くの読者に愛されています。また、作品は30か国以上で翻訳されるなど、国際的にも評価されています。彼女の独特の視点と心に残る語り口は、今なお多くの人々に影響を与え続けています。
書誌情報
- - 書名:『ヨシモトオノ』
- - 著者:吉本 ばなな
- - 判型:四六判
- - 装丁:大久保 明子
- - 装画:矢澤 利弘
- - 発売日:2025年5月23日
- - 定価:1,760円(税込)
- - ISBN:978-4-16-391984-3
- - 書誌URL: 公式サイト
この新作短編集『ヨシモトオノ』で、吉本ばななの独特の世界観をぜひ体験してみてください。