トラネキサム酸の新しい可能性
近年、皮膚の保湿に対するさまざまなアプローチが注目されています。その中でも、第一三共ヘルスケア株式会社が行なった臨床試験において、トラネキサム酸が皮膚の角層水分量を増加させることが確認されました。これは、トラネキサム酸の新たな効能発見として、多くの期待が寄せられています。
研究の背景
トラネキサム酸は、日本の製薬会社の先駆者である第一製薬によって1965年に抗プラスミン剤としての医療用医薬品として誕生しました。現在、この成分はOTC医薬品やさまざまな薬用化粧品に配合されており、抗炎症や美白効果が知られています。当社はこの成分の可能性を広げるべく、皮膚へのさまざまな効果について研究を進めてきました。
臨床試験の概要
今回実施された臨床試験は、40代から60代の健常な日本人女性を対象に設計されました。被験者にはトラネキサム酸を含む製剤(製剤A)と、トラネキサム酸の代わりに水を用いたプラセボ製剤(製剤B)を顔の左右に塗布しました。施術から4週、8週、12週経過した際に、角層水分量にどのような変化があったかを測定しました。
その結果、いずれの時期においても、製剤Aを使用した側の方が、プラセボ製剤を使用した側に比べて角層水分量の有意な増加が見られました。これは、トラネキサム酸の保湿効果が実証されたことを意味しています。
今後の展望
この研究により、トラネキサム酸が持つ新たな作用が確認されましたが、そのメカニズムは未だ多くの謎に包まれています。第一三共ヘルスケアは、今後もさらなる研究を進め、トラネキサム酸の効能を探求していく意向です。また、得られた研究成果を活かして、より高い保湿効果を持つ製品の開発に取り組んでいく予定です。
トラネキサム酸について
トラネキサム酸は医療現場でも使用される成分であり、抗炎症、止血作用が認識されています。化粧品分野では、美白や保湿の成分として活用され、特に「トランシーノ薬用スキンケアシリーズ」として知られる製品群が支持を受けています。このシリーズは、トラネキサム酸の効果を生かし、ユーザーに美しい肌を提供することを目指しています。
生活者のための事業展開
第一三共ヘルスケアは、「多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」という企業理念に基づき、OTC医薬品を中心に機能性スキンケアや食品へと事業を拡大しています。「セルフケア」の概念を大切にし、誰もが健康で美しい生活を送れるよう努めています。
未来に向けて、トラネキサム酸とその研究が、私たちにどのような新たな製品をもたらしてくれるのか、非常に楽しみです。