NTTコミュニケーションズが新たな距離計システムを導入
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下NTT Com)は、フジテレビジョン(以下フジテレビ)が中継するロードレースイベントにおいて、初めてMobile GNSSを搭載した距離計システムを導入しました。この新システムは2024年12月30日に放送された富士山女子駅伝において運用を開始し、高精度の位置データ測位を実現しました。
新システム導入の背景
近年、フジテレビでは駅伝やマラソン中継において、映像撮影の幅を広げるため中継バイクの機動性を最大限活用しています。この目的のために、必要な機材の増加が求められていましたが、その一方で安全性の確保や機材の小型軽量化も求められる課題が浮かび上がっていました。これらのニーズに応える形で、Mobile GNSSが導入されました。
実施内容の詳細
今回の富士山女子駅伝大会では、中継バイク2台に新しい距離計システムを搭載し、旧来のシステムとの併用で運用が行われました。このシステムによって得られた位置情報は、選手の走行距離表示や選手間の距離差を測定するために利用され、新たな中継体験を提供しました。最新のテクノロジーによる支援が、どのように中継を形作ったのか、その背後にある技術の力が伺えます。
Mobile GNSS導入の効果
以前の距離計システムは、複数の機器を使用していたため、その総重量は約5.3kgに達していました。しかし、Mobile GNSSを導入することで、この重量が約0.7kgまで軽減されました。これにより、積載能力の限られた中継バイクにとって大幅な軽量化が達成され、さらに中継バイクの安全性も向上しました。Mobile GNSSはリアルタイムで高精度な位置情報の測位と送信が可能であり、コストも軽減されることになりました。
また、このシステムは多様な通信インターフェースを備えており、必要に応じて測位・送信レートやフォーマットを変更できるため、非常に柔軟性が高いのが特徴です。これにより、フジテレビの中継運用に必要な構成が実現されました。
今後の展望
NTT Comは今後さらにMobile GNSSの価値を高めるための取り組みを進めています。具体的にはジャイロセンサーなどのデータを活用したデッドレコニング技術の検証を進めており、トンネルなどのなかなか衛星信号を受信できない環境でも位置測位を続けることを目指しています。また、フジテレビも2025年10月の出雲全日本大学選抜駅伝競走でこのシステムの単独運用を目指しています。
新たな距離計システムの導入によって、フジテレビの中継はさらに進化していくことでしょう。NTT Comとフジテレビの協力によって実現したこのプロジェクトは、これからのスポーツ中継に新たな可能性をもたらすかもしれません。