農林水産物の輸出拡大と国際競争力向上に向けた新施策
農林水産物の輸出拡大と新たな施策
令和7年5月30日、内閣官房の林長官が主導する第22回農林水産物・食品の輸出拡大に関する関係閣僚会議が開催されました。会議では、日本の農林水産物と食品の輸出を強化するための新しい実行戦略が議題に上がり、その具体的な施策が議論されました。特に、国内の農林水産業が国民の食料供給とともに、海外での収益確保を重要視していることが強調されました。
輸出の3本柱
会議では、農林水産物の輸出拡大に向けた3つの主要な柱が設定されました。1つ目は、ターゲット市場であるアメリカにおける関税措置の見直しを求め、現地の事業者が抱える懸念に応えつつ販路拡大を図ることです。そのための補助金制度は、特に影響を受ける事業者を優先的に支援し、新たな市場開拓を後押しします。
2つ目は、中国市場における水産物の輸出再開を目指して技術的要件について日中双方で合意に達したことであり、今後は輸出関連施設の再登録手続きを経て輸出が再開される見込みです。加えて、牛肉の輸出再開や農産物の輸入規制の撤廃を求めて対中国との交渉を進めていく方針も示されました。
3つ目は、食品産業の海外展開であり、現地の専門家による規制や税務のサポート、さらにコールドチェーンの構築といった施策が提案されました。このように、多角的なアプローチで海外市場への進出を加速させます。
インバウンド消費の拡大
また、地域の魅力ある食材や文化を前面に出し、訪日外国人に効果的にアプローチすることで、インバウンド消費を拡大する方針も採られました。具体的には、旅の前や中、後にかけて、食事を通じた地域の魅力をストーリーとして提供し、輸出とインバウンド消費の好循環を促進する狙いがあります。
法制度の見直し
高付加価値化のためには、地理的表示(GI)の活用や新たな品種育成についても強化していく必要があります。特にGI産品の数をさらに増やし、アニメやコンテンツと組み合わせて日本食を広める取り組みを展開することが求められています。また、優良品種を守るための制度改正も進められる予定です。
結論
このような施策を通じて、日本の農林水産業の国際競争力を強化し、持続可能な成長につなげることを目指しています。林官房長官は今後も、これらの政策を新しい資本主義実行計画に盛り込み、来年度予算において具体化を図るよう指示しています。これにより、日本の農林水産物が海外市場で新たな価値を生み出し、地方経済の活性化にも寄与することが期待されています。