電通総研が明らかにした「居場所」意識調査の結果
2025年3月24日、株式会社電通総研は「電通総研コンパス vol.14 居場所に関する意識調査」の結果を発表しました。この調査は、居場所づくりをテーマに社会の意識の変化を探るものです。特に、近年では「居場所」に関する取り組みが多くの分野で注目を集めています。ここでは、調査結果の詳細とその背景にある社会的な状況について考察します。
調査の背景
最近の社会では、行政や地域コミュニティが協力して「居場所づくり」に取り組んでいます。特に2023年12月には「こどもの居場所づくりに関する指針」が閣議決定され、子どもや若者のための多様な居場所の整備が進められることとなりました。また、私たちが普段使う「居場所」という言葉は多様な意味を持ち、その解釈は一様ではありません。本調査は、居場所が人々の生活意識や社会との関わりに与える影響を解明することを目指しています。
調査結果の概要
1. 居場所の必要性
調査の結果、96.9%の人々が居場所を必要だと感じており、88.7%が自分にとっての居場所があると回答しました。これは、居場所の存在の重要性を強く示しています。ただし、自分の居場所がないと感じている人も一定数存在し、社会にはまだ改善の余地があることがわかりました。
2. 集団や組織内の居場所
集団や組織の中での居場所の重要性も伺えます。「家庭・家族」が87.3%で最も多く、自身の「友人グループ」や「職場・オフィス」も重要な居場所とされています。特に10代では46.0%がSNSなどのネット上のコミュニティを居場所と感じていることが分かり、若い世代の居場所の形が変化していることを如実に示しています。
3. 地域社会の居場所
地域社会においては、「カフェや喫茶店」、「オフィス・職場」、「図書館」が居場所とされることが多いですが、32.5%の人々は「居場所を感じない」と回答しています。このことは、地域コミュニティの発展に向けた取り組みの必要性を示唆しています。
4. 居場所の有無と社会参画
居場所の有無は社会参画意識と密接に関連しており、居場所がある層の方が社会参画への意識が高い傾向があります。具体的には、居場所がある人たちは政治や社会問題に関心を持つ傾向が強いことが明らかになりました。
5. クラスターの分析
調査では参加者を6つのクラスターに分類し、それぞれの居場所に対する期待や役割の違いが見られました。これは、個々の価値観の違いに基づく多様な居場所観を反映しています。
まとめ
電通総研の「居場所に関する意識調査」は、現代社会における居場所の必要性とその重要性を再確認する良い機会となりました。特に、居場所があることが社会的なつながりや参加意識の向上につながることが示されています。今後、より良い居場所づくりが求められる中で、私たち一人ひとりがどのように関わっていくかが問われています。