高騰する管理費に注目!中古マンション市場の実態を探る
最近の物価上昇により、新築マンションの管理費の高騰が顕著になっています。特に、管理費に関する情報は私たちの住宅選びに大きな影響を与える要因のひとつです。今回は、マンションリサーチ株式会社が実施した調査データをもとに、中古マンション市場の管理費の推移とその実態を掘り下げます。
物価高の影響と管理費の実態
調査によれば、2011年から2024年の期間においても、新築マンションの管理費は上昇している一方で、中古マンションの管理費はほぼ据え置きのまま推移しています。この背景には、メンテナンスにかかる人件費の高騰があげられますが、中古マンションの管理費が現状維持され続けていることは、管理の質を下げる方向に向かっていると言わざるを得ません。
新築マンションの管理費の上昇
全国の大手ディベロッパー関連管理会社における管理費は、2016年以降、全体的に上昇傾向にあります。そのため、消費者が新築マンションを購入する際、管理費がどれほどかかるかは重要な判断基準となるでしょう。特に東京都内では、新築マンションの供給数が減少しているため、競争は激化し、より高単価での管理業務が求められています。
中古マンションにおける管理費の推移
一方、東京都23区内の中古マンションでは、2011年から現在までの管理費に大きな変動は見られない様子です。もともと管理会社を変えなかった住宅の67%はほとんど管理費が変わっていないというデータがあります。これにより、現在の価格を維持するために、管理の質を下げて機能していることが強く示唆されます。管理の質が低下すると、マンションのリセールバリューに悪影響を与えることも懸念されます。
管理費とリセールバリューの関係
興味深いことに、マンションの管理適格評価が高いほど、そのリセールバリューも高くなる傾向があります。管理費が高く設定されている中古マンションに関しては、評価が高まることで、その価格も上昇する可能性があります。つまり、管理の質は価格設定に直結しており、今後の市場動向にも影響を与える重要な要素となるでしょう。
まとめ
物価の高騰により新築マンションの管理費が上昇する中、中古マンションはその管理費を抑えつつ、管理の質を維持することが求められています。リセールバリューを保持するためにも、購入者がこれらの要因を理解し、質と価格のバランスをしっかり見極めることが重要です。今後の中古マンション市場においても、物件選びの際は管理費の確認が欠かせなくなると考えられます。
筆者プロフィール
福嶋真司(マンションリサーチ株式会社、データ事業開発室、不動産データ分析責任者)
早稲田大学理工学部を卒業し、不動産業界でのマーケティング調査を担当。現在、マンションリサーチ株式会社にてデータ分析と市場調査を行っています。近年は特に中古マンション市場に焦点を当てた研究を進めています。