デジタルメディアがテレビを超えた時代:信頼性と利用動向の変化
経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下BCG)が発表した「2024年度コンテンツ消費者行動調査」により、日本のメディア環境における動向が浮き彫りになりました。調査は全国の15歳から69歳までの3,645人を対象に実施され、インターネットメディアとテレビニュースの関係性や信頼度が分析されています。
インターネットメディアの台頭
調査結果によると、メディア全体の視聴時間は約4時間半でほぼ安定しているものの、視聴内容は大きく変化しています。最近の調査では、インターネットメディアが総視聴時間の60%を占めるようになり、伝統的なテレビがそのシェアを奪われていることが明らかになりました。特にSVODやAVOD、SNSなどの新しいメディア形式が急速に成長しており、ユーザーの多様なニーズに応えるコンテンツの供給が増加しています。
この流れは若年層だけでなく、全世代にわたる動向として見られ、インターネットメディアが今後も伝統的なメディアの視聴時間を上回る傾向が予想されます。特にテレビが強みとする「多人数リアルタイム視聴」の分野でも、インターネットの技術進展が影響を及ぼしており、スポーツ中継など多人数が同時に視聴できる環境が整いつつあります。
テレビニュースへの信頼性の低下
また、テレビニュースの信頼性についての調査も行われ、全世代に渡って低下が顕著であると指摘されています。特に若年層において信頼度の大幅な低下が見られ、情報の選択肢が増えた結果、どのメディアを信頼すればいいのか不安を感じる声も増加しています。メディアは、即時性と多様性を求めてネットニュースへ支持が移る一方で、情報が氾濫することで混乱を招いている状況です。
スマートフォンが主流デバイスに
さらに、コンテンツ消費においては、スマートフォンがジャンルを問わず最も利用されているデバイスであることが明らかになりました。これまでの紙媒体に慣れ親しんできたジャンルについても、スマートフォンでの消費が増加しています。今後も技術の進展によって、VRや自動運転など新たな要素が人々の生活やコンテンツ利用の在り方にさらに影響を与える可能性があります。
まとめ
BCGの黒川あやかパートナーは、「メディア企業は、信頼度の高い情報や価値あるコンテンツをどのように創出し、どのチャネルで展開していくかが重要な課題」と述べています。変化する時代に合わせて、トライアンドエラーを重ねつつ、エンドユーザーに対して一貫した情報提供が求められるとしています。
2024年度の調査結果からも、インターネットメディアの普及とテレビニュースの信頼低下が鮮明になっています。この現象は、メディア消費の新しい未来を示唆しており、今後の展開が注目されます。