澤田瞳子が贈る新たな歴史小説『赫夜』
直木賞を受賞した作家、澤田瞳子が新作小説『赫夜』を2024年7月24日に刊行します。本書は、平安時代に起きた富士山の噴火を背景に、人々が苦悩しながらも立ち向かう様子を描いた歴史パニック長編小説です。特筆すべきことは、すべての本に著者の直筆サインが入ることで、これまでに類を見ない取り組みと言えるでしょう。
全冊サイン入り、平等な読書体験を
『赫夜』では、すべての冊に著者の直筆サインを入れるという前例のない取り組みが採用されます。通常、サイン本は特定の販売限定で入手が困難なことが多く、これを改善すべく澤田さんが立ち上がりました。業界全体の協力を得て、平等に本を手にする喜びを全ての読者に届けることが目指されています。
著者からは「サイン本を求める声が多く、手に入らない状況を何とかしたい」という願いが寄せられ、今回の企画が実現しました。この姿勢は、文化の平等性を守るための堅い意志とも言えるでしょう。
サイン本制作の舞台裏
実際のサイン本の制作には約1万冊に及ぶ作業が必要です。3週間をかけ、製本所や用紙業者の協力を得ながら、サインを入れていきます。著者は一部の本を自宅に持ち帰り、サインをした後、出版社に戻し、他の本は出版社で集中してサイン記入が行われます。その様子はまさに作業の神業であり、著者の集中力には驚かされます。
歴史的背景と物語のあらまし
『赫夜』の物語は、平安時代の延暦十九年に設定されています。物語は、静岡県にあたる駿河国の官牧で鷹取という家人が主人公。彼は軍馬を育てる日々を送り、自らの境遇を嘆いていますが、ある日富士山からの黒煙を目撃します。その瞬間、彼は焼灰に包まれ意識を失うことになります。
この噴火によって地域が混沌とし、避難民が溢れ、不安や怒りが広がる様子が描かれます。鷹取は自らの不遇に歯噛みしながら、状況を改善するために立ち上がります。江戸時代に至るまで語り継がれるこの壮大な歴史の舞台で、人々がどのように生き抜いたのか、その苦悩と奮闘が鮮やかに描かれています。
著者の経歴と書籍情報
澤田瞳子は1977年に京都府で生まれ、同志社大学大学院を卒業。2010年にデビューし、以降、多数の賞を受賞してきました。最近の著書には『星落ちて、なお』や『駆け入りの寺』などがあります。
新刊『赫夜』は、光文社からの発行で、定価は2,420円(税込み)。
興味がある方は、書店またはオンラインでぜひお求めください。直筆サイン入りという特別な体験を得られるこの機会をお見逃しなく。